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新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(7)
 〜職場で増加する感染者と対策の限界〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第226号
                              2021/02/01

           http://www.koyousystem.jp
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新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しが未だに見えず、
皆様におかれまして大変なご苦労をされておられることと案じております。

雇用システム研究所メールマガジン第226号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(7)
  〜職場で増加する感染者と対策の限界〜

■職場の感染対策は万全。それでも社員の感染が続出
■家庭内感染した社員。職場にどのように伝えるか
■ほとんど出社の企業が恐れる「職場内クラスター」
                 (以上執筆者 溝上 憲文)


■2021春闘がスタート――with /afterコロナへの対応で極めて難しい交渉に
■経団連の「経労委報告」は業種横並び・各社一律の賃上げは非現実的と反論
■テレワーク・ガイドラインの見直しと求められる労使対応
■「在籍型出向」の活用による雇用維持に支援/厚労省
                  (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(7)
  〜職場で増加する感染者と対策の限界〜

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社員の感染も増えている。
多くの企業が感染防止対策マニュアルに沿って粛々と対応しているが、
それでも予防対策には限界があり、感染者発生の事後対応に追われている企業も少なくない。


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■■■ 職場の感染対策は万全。それでも社員の感染が続出 ■■■
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 大手イベント会社は総務担当役員を長とする「新型コロナウイルス対策本部」を
昨年4月に設置。緊急事態宣言解除意向も週3日を在宅勤務とする出社制限を実施し、
部門内の出社率を50%程度に抑え、密にならないように部屋のレイアウトも変えている。
出勤者には検温を義務付けし、マスク着用を義務づけ、会議室の椅子も半分に減らし、
飛沫防止パネルを設置している。
もちろん社員に対しては、社内の飲み会などは原則禁止とし、顧客の接待も自粛を
要請し、交際費も部長から事業部長決裁に格上げした。

 教育研修会社も在宅勤務を推奨し、実際に週平均1〜2日出社勤務となり、
研修業務もオンラインに切り替えた。職場内はマスク着用を義務づけ、机と机の間
のアクリル板や室内にパーテーションを設置し、密にならないように万全の職場内
感染対策を施している。
社外での行動についても、出社時の同僚とのランチを控えることのほかに、
社員同士の飲み会の禁止、歓送迎会の禁止、顧客・取引先との会食の禁止や
プライベートの会食も極力控えるように要請している。

 しかし、それでも社員の感染者が発生した。最近の盲点は在宅勤務中の家庭内感染だ。
前出のイベント会社でも在宅勤務中の部長か感染。すぐに自宅待機を命じ、本人は入院。
保健所と連絡を取りながら2週間前からの行動履歴を調査したところ、1回出社し、
会議に参加していたことがわかった。
参加者全員が濃厚接触の疑いがあるということで2週間の出勤停止とし、
全館消毒を実施した。
ところが、ようやく一安心というところに想定外の事態も発生した。
同社の人事担当者は「社員の感染をホームページで社外に告知したところ、取引先から
各部門に問い合わせが殺到し、中にはまったく関係のない部門の担当者が
『うちに来るならPCR検査を受けて来い』と言われたらしい。
全員に検査を受けさせるのは無理なので、しかたなく会社負担で担当部署の社員を
受けさせました」と語る。


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■■■ 家庭内感染した社員。職場にどのように伝えるか ■■■
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 教育・研修会社でも家庭内感染が発生した。同社の社員も息子から感染したが、
当初、最初に発熱した息子はコロナだとわからなかった。
その後、息子と会食した友人が陽性と判明し、濃厚接触者である息子も感染が疑われ、
続いて父親の社員も発熱した。
しかし、息子が濃厚接触者であると保健所が断定するのが遅く、PCR検査を受け
させてもらえなかったという。
このままでは大変だということで息子と父親は自費で検査を受けて陽性と判明し、
会社に連絡してきたという。
会社として社員に感染者が出たことを社内外に告知し、入居しているビルの他の
会社にも通知。
ただ会社にとって幸運だったのは、社員は感染の前後は2週間以上在宅勤務中だった
ために職場の消毒の必要もなくてすんだという。

 しかし、想定外の事態も発生した。同社の人事担当者はこう語る。

「社員の感染者が出たというだけで部署名と名前は個人情報なので通知しませんでした。
人事部としては感染経路もわかり、在宅勤務中で他の社員が感染することはないと
わかっていたのですが、何も知らない社員たちが
『どこの誰なのか、自分も感染しているのでは』と言って騒ぎ出しました。
人事部には『取引先にどこまで伝えていいのか、わかっていれば教えろ』という
突き上げもありました。
社内で協議し、結果的に本人に了解を取り、また保健所のお墨付きを得て社外に
口外しないことを条件に社員に知らせてようやく沈静化しました」

 家庭内感染は必ずしも子どもから感染するとは限らない。
ある倉庫会社では最近、同居の両親が感染し、息子の社員が濃厚接触者として
2週間の自宅待機中という話も聞く。


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■■■ ほとんど出社の企業が恐れる「職場内クラスター」 ■■■
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 しかし、出社せざるをえない接客業や対面営業主体の企業は感染対策にも限界がある。
感染者の発生で頭を悩ます人事担当者も少なくない。
数十店舗を運営する飲食チェーンでは店舗の従業員が感染した。
同社の人事担当者はこう語る。

「もし店舗が感染源となり、お客さんに感染していたとなれば風評被害も含めて
経営への打撃は甚大です。
すぐさま店舗閉鎖を実施し、アルバイトを含めた従業員30人に自宅待機を命じ、
保健所の指示をあおぎながら対応しました。
店内の感染症対策はちゃんとやっていたので従業員がどこから感染したのかわからないし、
いわゆる感染経路不明でした。社外向けにホームページで告知し、店舗は営業休止の
張り紙を出しましたが、休業期間はどんな噂を広まるのか不安でいっぱいでした。
ただ幸いなことと言うと問題ですが、同時期に周囲の病院などで多数クラスターが発生し、
連日の感染者急増で世の中が大騒ぎしていたので、それにまぎれてうちの店舗が注目され
ることはなく、おかげさまで1週間後には再開にこぎつけることができました」

 接客中心の営業形態は従業員や顧客からいつウイルスが持ち込まれるかわからない
状況にある。
一方、対面営業主体の企業も感染は免れない。
東京都内の住宅販売会社は国の要請に応じて表向きは週3日出社に制限し、感染対策
を講じているが「営業部門はお客さんが来いと言えば行くしかありませんし、現場に
出向いてなんぼの世界です。実際には70%近い社員が外に出ています」(人事担当者)
と言う。社員の感染者も徐々に増えており、これまでに8人の感染報告が出ている。
感染者が発生すると事業所の責任者を通じて本社に連絡があり、感染者と濃厚接触者の
2週間前からの行動履歴を報告させ、事業所の消毒と濃厚接触者全員を自宅待機にする
措置を講じている。

 こうした事後的対応しかできないことにいらだちも隠せない。
人事担当者は「正直言って防ぎようがないのが実態です。
消毒作業をするにも今は消毒業者が手一杯で混んでいる。
今日発生しても明日に来てくれる保証はありません。
社内イントラネットで感染予防情報を流し続けていますが、それでも家庭内で感染すれば
防ぎようがない。
発症の2日前から感染力が上がると聞いていますが、本人も感染していることを気づかずに、
発症2日前に出社し、多くの人と接触していたら被害も大きくなります」と語る。

 新型コロナウイルス感染者は全国的に増加しているが、社員の感染者の増加は当然、
事業の継続にも影響を与える。企業の対策にも限界がある以上、
頼みの綱は国や自治体の公的セクターの感染対策を期待するしかない。

 緊急事態宣言の再発令で企業は出社7割制限を要請されているが、感染の長期化は
事業活動や雇用にも大きな影響を及ぼす。
一日も早い感染収束を祈るしかない状況にある。        (溝上 憲文)



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■■■ 2021春闘がスタート
        ――with/afterコロナへの対応で極めて難しい交渉に ■■■
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 連合(神津里季生会長)と経団連(中西宏明会長)ら労使のトップが1月27日に
経団連会館で会談し、2021年春季労使交渉(春闘)が事実上スタートした。
コロナ禍で2回目となる今季交渉は、withコロナへの対応だけでなく、afterコロナへ
の対応として経済・雇用の回復とデジタルトランスフォーメーション(DX)の
進展等を射程に入れなければならない。
それだけに、労使は未踏の交渉に足を踏み入れることになる。
パターンセッターと目される大手企業の集中回答は3月17日に予定されている。

まず、労働側の要求ポイントを概観してみる。

 労働中央団体の連合(700万人)と交渉リード役の自動車、電機などの金属産別で
構成する金属労協(200万人)は年内に今季交渉に向けた方針を決めており、
これを受けて傘下の産別が闘争方針を策定し、加盟単組がそれぞれの要求に落とし込む。

 今季の労働側の方針に共通なのは、過去7年続いた賃上げの流れを止めないとの姿勢と、
賃金の絶対水準を重視し、産業・業種間、規模間、雇用形態間の賃金格差により
力点を置いていることだろう。

 連合の2021春季生活闘争方針は、定期昇給相当(賃金カーブ維持相当)分(2%)の
確保を大前提に、産業の「底支え」、「格差是正」に寄与する名目賃金の最低到達水準と
目標水準への到達(賃金水準の追求)に取り組むことで、2%程度の賃上げを実現し、
「感染症対策と経済の自律的成長の両立をめざす」。
格差是正に向けて示している賃金要求指標は昨年同様ながら、コロナ禍で社会機能を
支えたエッセンシャルワーカーや、社会基盤を支える中小企業や有期・短時間・契約等労働者
の処遇を「働きの価値に見合った水準」へと引き上げることで、
「分配構造の転換につながり得る賃上げ」を実現させていきたいとしている。

 金属労協の闘争方針は、「人への投資」として、賃上げの流れを止めないよう、
すべての組合は、定期昇給など賃金構造維持分を確保し、昨年と同額の3,000円以上の
賃上げに取り組むことを基本とする。
ただし、コロナ禍で業績のばらつきが拡大していることもあり、
「おかれている状況を踏まえて、具体的な方針を決定する」と付記、
具体的な方針策定は産別に委ねた。
格差是正に向けた指標としては、昨年と同じく銘柄別に目標基準、到達基準、最低基準の
金額を示している。また、企業内最低賃金については、地域別最低賃金の上昇も
踏まえて、これに抵触しない水準として月額17万7,000円程度(時間あたり1,100円程度)
を中期的目標とし、各産別で計画的に取り組む。

 金属労協の構成組織でトヨタ、日産、本田などの自動車メーカー労組などでつくる
自動車総連(80万人)は、2019年闘争からシフトした各単組が自ら目指す賃金水準の
達成に向けた取り組みにテコ入れする。

 上げ幅から水準への共闘を前面に打ち出し、昨年に続いて産別として具体的な
平均賃上げの要求額は示していない。
電機メーカー各社の労組などでつくる電機連合(60万人)は、他の産別に先駆けて
個別賃金を柱にする要求を組み立てており、過去7年連続で大手メーカー労組はこの間、
統一回答(昨年1,000〜15年3,000円)を引き出してきた。

今季の統一要求基準は昨年をそれぞれ1,000円下回る、
(1)賃金体系維持のうえ、開発・設計職基幹労働者で2,000円以上の賃金水準の改善、
(2)産業別最低賃金(18歳見合い)は現行水準から2,000円の引き上げ16万6,000円以上
 の水準改善とした。

 幅広い産業、雇用形態を組織する連合最大の産別であるUAゼンセン(179万人)の
要求水準はほぼ昨年と同様の内容を掲げた。
すべての加盟組合は賃金体系維持分に加え、何らかの賃金改善に取り組み、格差是正分
として2%までの幅を目標に賃金を引き上げる。
組織人員の過半数を占めるパート・契約社員などの短時間組合員等の要求基準は
制度昇給分に加え、正社員組合員と同じ2%を目標に時給引き上げを求める。
同一労働・同一賃金の関連ではあらゆる就業形態における公正処遇の実現に向けて、
一時金・退職金の全組合員への制度化を盛り込んだ。
同産別では、交渉の妥結権を本部に委譲しているが、コロナ禍の実情も勘案して、
こうした総合的な労働条件の改善を賃上げ相当として評価するとした。


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■■■ 経団連の「経労委報告」は
          業種横並び・各社一律の賃上げは非現実的と反論 ■■■
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 こうした労働側の動向を踏まえて、経団連(中西宏明会長)は1月19日、
春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスを示す
「2021年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表した。

 労働側の要求に関連して連合の「2021春季生活闘争方針」について、「雇用の確保」
を大前提に据えるなど、基本的な考え方については多くの点で方向性が一致している
としながらも、「2%程度の賃上げ」を目標に掲げていることは、
「事業継続と雇用維持に努める多くの企業で共感や理解が得られにくい」と批判。
また、「格差是正」の大きな柱である賃金実態が把握できない中小労組(組合員300人未満)
の要求内容が7年連続で前年と同じ「総額10,500円以上」となっていることについて、
「雇用の確保」を大前提に据えているにもかかわらず、経営状況の実態とは乖離して
いるとし、「建設的な労使交渉を阻害し、ひいては良好な労使関係を損なうのでは
ないかと危惧している」とけん制する。

 今次労使交渉に臨む基本姿勢としては、コロナ禍で業績がまだら模様のなか、
「業種横並びや各社一律の賃金引き上げは現実的ではない」とし、自社の実情に
応じて基本給や諸手当、賞与・一時金を決定することが必要であるとする。
そのうえで、ニューノーマルやDXに対応できる事業転換を見据え、
自社の競争力強化につながる議論の深化に期待している。

 基本給の引き上げにつながるベースアップについては収益が安定的に
推移・増大している企業では選択肢になるとしているものの、
その際も個々人の仕事・役割・貢献度に応じた重点化が必要だとしている。

 総合的な処遇改善については、企業労使が一体となって持続的な成長と生産性向上に
取り組み、増大した付加価値を適切に社員に還元することで、
働き手のエンゲージメントを高め、さらなる付加価値増大につなげる
「社内の好循環」が重要であるとする。
こうした持続的な生産性向上を実現していくなかで、
「賃金引き上げのモメンタム維持が望まれる」との立場を維持している。
連合とのトップ会談で、賃上げの必要性で一致したと報道されているが、
労使の主張の立脚点は異なっている。

 また、日本型雇用システムについて、メンバーシップ型を活かしつつジョブ型を
組み合わせた、「自社型」雇用システムの形成を大きく紙幅を割いて強調している
点が注目される。

 いずれにしてもコロナ禍がおさまらない中で展開する労使の協議・交渉のテーマは、
足元の危機への対応にとどまらない。
Afterコロナを展望した、「働きやすさ」「働きがい」を実感できる職場環境のあり方、
また、DXに対応した事業構造の変革など、社員と企業の成長につなげるための重要な
対話の機会となることは間違いないだろう。


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■■■ テレワーク・ガイドラインの見直しと求められる労使対応 ■■■
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 新型コロナウイルスの感染リスク回避の観点から、在宅勤務をはじめ
サテライトオフィス勤務などの「テレワーク」を実施する企業が急速に増加した。

 テレワークは、働く場所・時間を柔軟に活用することが可能となり、業務を効率的
に行えるメリットがある一方、作業に集中するあまり長時間労働になる可能性がある
ことから、長時間労働への留意も重要になる。
また、労働者が労働時間を過少申告することがないよう、健康管理の観点からも、
企業は労働時間を適切に把握することが必要となる。

 こうした動向を受けて、昨年12月25日に厚労省は有識者による検討会の議論を
まとめた「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」を公表した。

それによると、
(1)テレワークの対象者を選定する際の課題、
(2)テレワークの実施に際しての労務管理上の課題(人事評価、費用負担、人材育成)、
(3)テレワークの場合における労働時間管理の在り方、
(4)テレワークの際の作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルス
 ――について今後、必要となる対応についての提言が盛り込まれている。

 厚労省はこの報告書を踏まえ、年度内にも
「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」
の改定を行う予定だ。

 これに先立ち連合は、実施の目的、対象者、実施の手続き、労働諸条件の変更事項など
について労使協議を行い、労使協定を締結し、就業規則にしたうえで、情報セキュリティ
対策や費用負担のルールなどについても規定すること、また、長時間労働の未然防止策と
作業環境管理や健康管理を適切に行うための方策をあらかじめ労使で検討することを
盛り込んだ対応指針を確認している。

 一方、経団連の経労委報告では、現行のガイドラインでテレワークにおける
長時間労働を防ぐ手段として、
「テレワークを行う際の時間外労働・休日・深夜労働の原則禁止等」
が例示されており、こうした内容がテレワークを導入する企業に影響を与えている
可能性があるため、その見直しが求められると主張。テレワークを常態化する
企業などについては、労働時間の適切な把握や長時間労働対策の実施を前提に、
「原則禁止としないことが考えられる」との見解を示している。

 こうした動向もあり、厚労省の報告書では、
「自己申告された労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実により
使用者が認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任を
問われないことを明確化する方向で検討を進めること」
「中抜け時間があったとしても、労働時間について、少なくとも始業時間と
終業時間を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係で、
問題はないことを確認しておくこと」
などが適当であると記述している。

 また、テレワークには生活と仕事の区別が難しい側面があるため、
フランスで導入されている「つながらない権利」に類似した一定のルールを設けること、
また、勤務間インターバル制度がテレワークでも長時間労働を抑制するための手段の
一つとして考えられるとしている。

 今後、テレワークが緊急避難的な対応ではなく、新たな働き方として常態化する
ことが想定されるため、こうした労働時間管理の議論は欠かせない。
しかし、その前提となるテレワーク自体の目的をまず労使で再確認する必要が
あるだろう。テレワークに完全移行する企業は極めて限られる中、
在宅と出社のベストミックスの在り方なども含めて、
各社における適切なルールの構築も労使コミュニケーションの中から
見出していくことが肝要になる。               (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 昨年12月末から、新規感染者数が増加し
2回目の緊急事態宣言が発出されました。
一時は2,000人を超える新規感染者数でしたが、ここ数日は1,000人以下です。

2回目の緊急事態宣言では、政府の基本的対処方針として
「出勤者数の7割削減」のテレワークを推進しました。
また、所得税面でもテレワーク時の通信費を半額非課税とし推進支援しています。
しかし、テレワークの難しさからか朝の通勤時間帯は混雑した状況が続いています。
今後、テレワークによるメンタル面の対応も必要でしょう。

 緊急事態宣言の発出により、雇用調整助成金の特例期間が延長されます。
コロナ禍でも半導体や自動車等の製造業は回復状況にありますが、
旅行業、宿泊業、外食業および周辺サービス業においては、
景気悪化と業績回復時期が不透明で冷え込みが続いています。

雇用調整助成金の受給だけでは雇用の維持が難しくなり、
希望退職を募集する企業が増えてきました。

ワクチン接種が2月下旬から医療従事者からスタートします。
高齢者は早くて4月1日の方針ですので、実施が遅れているのでしょうか。
一日も早い感染者の収束を祈るばかりです。            (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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