本文へスキップ

人事・労務に関する御相談は東京都新宿区 社会保険労務士法人 雇用システム研究所まで

電話での相談・お問い合わせはTEL.03-5206-5991

〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-13 末よしビル4階

発刊済みメールマガジンMail Magazine

「無期転換ルール」見直しの議論
 ~転換5年前の雇止めをいかに防止するか~

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第248号
                              2022/12/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

師走の慌ただしい時節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第248号をお送りします。

==============================================

□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

「無期転換ルール」見直しの議論
  〜転換5年前の雇止めをいかに防止するか〜

■勤続年数の上限設定企業14.2%、上限年数は3年超〜5年以内が49.3%
■雇用契約書の署名押印を重視する裁判官と実態を重視する裁判官
■現行の5年ルールを3年にすることも一案
■上限設定理由の説明義務化の方向で議論が進む
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■厚労省「雇調金の特例措置の見直し」と「雇用・労働総合政策パッケージ」公表
■「人的資本」の開示義務化に向け、金融庁が改正案
■「新しい資本主義実現会議」で労働移動・リスキリング・賃上げを議論
                 (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

-----------------------------------------------------------------------

「無期転換ルール」見直しの議論
  〜転換5年前の雇止めをいかに防止するか〜

 「無期転換ルール」を定めた労働契約法18条の見直しの議論が厚生労働省で行われている。
2013年4月に施行同条については、法施行後8年を経過した時点で
「必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」
(法律の附則3項)としていた。
これを受けて厚生労働省の有識者による
「多様化する労働契約のルールに関する検討会」が今年4月に報告書を出し、
現在、労働政策審議会の労働条件分科会で見直しの議論が行われている。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 勤続年数の上限設定企業14.2%、
               上限年数は3年超〜5年以内が49.3% ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 18条は有期雇用労働者の雇用安定を目的に有期労働契約が反復更新されて
通算5年(研究者は10年)を超えたとき、労働者の申し込みにより無期労働契約に
転換できる「無期転換権」を付与している。
ただ当初から懸念されていたのが無期転換ルールを回避するために使用者が通算期間
を超える前に雇用を終了させる「雇止め」だった。
施行後5年の無期転換権を迎える2018年4月の前に大量の雇止めが発生する
「2018年問題」が世間でも話題になった。

しかし当時は人手不足問題もあって大騒ぎするほど雇止めが頻発する事態は
起きなかったように思われる。

 ただコロナ禍の業績不振で無期転換前の更新上限を設定する企業も増えたといわれる。
厚労省の「有期労働契約に関する実態調査(事業所)」(2020年4月時点)によると、
「過去2年間に雇止めを行ったことがある」と回答した割合は10.7%。
また、勤続年数の上限を設けていない事業所は82.9%、
設けている事業所が14.2%と少ないが一定数ある。
上限年数は3年超〜5年以内が49.3%と半数を占める。
無期転換権が発生する5年を意識していると推測される。

 また今でも雇止め紛争が発生し、裁判でも争われている。
その中で起きている問題の1つが、雇止めに関して就業規則に不更新条項を設け、
雇用契約書等に5年上限の署名押印があれば雇用終了の合意があったと認められる
のかという点だ。

労契法19条には法の趣旨に反する雇止め防止策として「雇止め法理」を規定。
労働者が有期労働契約満了前に更新の申し込みをした場合などは
「使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的理由を欠き、
社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の
内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」と
規定している。

また同条2号では労働者が「当該有期労働契約の契約期間の満了時に
その有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的理由があるものと
認められること」と規定。

労働者が雇用継続への合理的期待を抱いているのに、
契約期間の満了前に更新年数や更新回数の上限などを使用者が一方的に宣言しても
直ちに合理的な理由の存在が否定されることにはならない、とされている。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 雇用契約書の署名押印を重視する裁判官と実態を重視する裁判官 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 つまり労働者の合理的期待の有無については実態を見て司法が判断することになっている。
例えば博報堂事件(2020年3月17日、福岡地裁)の判決は
「不更新条項のある雇用契約書に署名押印があることをもって雇用契約終了の合意が
あったとは認められず、また、形骸化した契約更新が繰り返されていること等から
契約更新の期待は相当高く、最長5年ルールが適用されても一定の例外も設けられ、
期待が大きく減殺されていない」とし、労契法19条2号に該当するとしている。

 しかし最近の判決を見ると、必ずしも同じような判決ばかりではない。
東北大学事件(2022年6月27日、仙台地裁)の判決は
「無期転換申込権の発生を回避することを目的とした雇止めをしたことをもって、
直ちに労働契約法に抵触するものではない。
原告と大学の労働契約では雇用期間の管理が厳格に行われていて、
継続を期待させる合理的な理由はなかった」という趣旨で原告が敗訴している。

 また、2021年3月30日の「日通雇止め事件」(横浜地裁川崎支部)の判決では
「契約当初から更新上限が明確に示され、男性が内容を十分に認識していた」とし、
契約締結時に会社の担当者に説明を求めたり、締結後の異議を述べたりしておらず
「自由意思を阻害していない」と敗訴している。
また、2審の東京高裁も2022年9月14日、控訴を棄却している。

 こうした一連の判決について法政大学法学部の沼田雅之教授(労働法)
「表面的で形式的なやりとりや特に書面で残っているものを重視する裁判官と、
実態を素直に見て判断しようとする裁判官に分かれる。
最近は書面を重視する裁判官も多いようであり、
裁判官によって判決がまったく異なる現象も起きている」と語る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 現行の5年ルールを3年にすることも一案 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 合理的期待があったかどうかは当然、個別のケースで判断されるべきだが、
署名押印していた事実だけが特に重視するようになると労契法19条の法的安定性が
失われることになる。
東京大学の水町勇一郎教授(労働法)はこうした背景の一つとして、
現行の5年の無期転換ルールが長いことの問題点を指摘する。
「5年になると19条の合理的期待が発生する可能性が高くなる。
入社時から5年の更新上限を設定し、それを周知し、理由が説明され、かつ例外なく
全員が5年で雇止めされている場合には、合理的期待があるとは言いにくいだろう。
しかし実際には上限を設定しても明確に理由を説明しない。
説明しても無期転換した人もいれば雇止めされた人もいるとなれば、
裁判官は5年も経てば合理的期待があるとし、客観的合理性、社会的正当性がないと
契約は更新したものとみなすこともある。
ケースバイケースで判決が非常に不安定になっている」

 その上で人事労務管理やコンプライアンスを重視する企業は3年の時点で雇止めか、
あるいは契約を更新し無期転換する企業も増えてきているとし、こう提案する。

「雇止めに関しては、予見可能性がないと会社も困るし、
働いている人も泣き寝入りすることが多く、もう少しルールを明確にする必要がある。
無期転換を事実上3年にしている企業が増えていることを考えると、
例えば現行の5年を3年にすることも考えられる。
ヨーロッパでは上限を2年や3年にしている国も多い。
2〜3年にすると一種の踏み石の期間として、その会社で長く働く覚悟があるのか、
労働者や会社にとっても判断する上でリーズナブルな期間になるのではないか。
今回の見直しではできなくても次の課題になるだろう」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 上限設定理由の説明義務化の方向で議論が進む ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 厚労省の検討会の報告書は、更新の上限を設定することへの対応として

(1)使用者に更新上限の有無及びその内容の労働条件明示の義務づけ、
(2)最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合は、
  労働者からの求めに応じて、上限を設定する理由の説明の義務づけ

 ――をすることを提言している。

これを受けて労政審の議論では「上限設定自体が望ましくない」としながらも
「少なくとも、上限設定をした場合の説明については労働者からの求めの有無に
かかわらず義務付けることが適当」との案が提示されている
(「無期転換ルールに関する論点について」22年8月30日)。

 使用者に更新上限を設定する理由の説明を義務化することになれば、
当然、理由の客観的合理性や社会的正当性も求められることになるだろう。
説明理由の客観的合理性等が認められない場合、
裁判で労働者の合理的期待の存在を根拠づける要素となり得るかもしれない。
労働者に対する説明の義務化は今回の見直しのポイントになる可能性もある。
                             (溝上 憲文)


---------------------------------------------------------------------------


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 厚労省「雇調金の特例措置の見直し」と
             「雇用・労働総合政策パッケージ」公表 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 新型コロナウイルス感染症は第8波の到来が懸念されているものの、
経済活動がコロナ前の姿に戻りつつある中、コロナ対策も見直しの動きが
強まってきた。

 こうしたなか、厚労省は10月28日に特例措置が設けられてきた雇用調整助成金制度
の段階的な縮小の方向を示した。
同日はあわせて、「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」
雇用・労働総合政策パッケージを公表。
コロナ禍における雇用維持のための緊急的・短期的政策から、補正予算などを活用して、
中長期を見据えた雇用政策に移行していく方針を明確にした。

 新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置については、
12月以降は原則的な措置(助成率:中小企業2/3・大企業1/2、日額上限8,355円)に戻す。
ただし、要件を満たす特に業況が厳しい事業主については、
経過措置として2022年12月〜23年1月の2カ月間については、
経過措置(助成率9/10や日額上限9,000円)を設ける。

 コロナ禍で雇用調整助成金は上限額や支給要件などが段階的に引き上げられ、
一時は1万5,000円となっていたが、直近では10月から1万2000円に引き下げていた。
こうした特例措置の支給期間が長期化した結果、支給額が延べ6兆円を超えた。
このため、雇用保険の財源不足が課題となり、
10月から雇用保険料率が引き上げられていた(0.9%から1.35%)。

 また、同日に公表された雇用・労働総合政策パッケージによると、コロナ禍における
緊急的・短期的な対策から、コロナ後の経済再生・成長のエンジンとなるような
人材の育成・活性化や賃金の上昇を伴う労働移動の支援に政策の軸を移行させる。

パッケージは今年度の取り組みと合わせて、総合経済対策実施のための第二次補正予算、
令和5年度予算概算要求の要求事項などで構成されている。

このうち人材の育成・活性化(個人の主体的なキャリア形成の促進)では、
産業雇用安定助成金に「スキルアップ支援コース」(仮称)と
「雇用維持コース(事業再編型)」(仮称)を創設し、
雇用機会の増大等で雇用の安定を図る。

 「スキルアップ支援コース」は、労働者のスキルアップを在籍型出向で行う場合に、
労働者を送り出す事業主に助成することで在籍型出向を推進し、企業活動を促進するもの。
「事業再編型」は新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を
余儀なくされた事業主が、イノベーションの強化や新しい事業分野への進出など
事業再編によって労働者の雇用を維持する場合、事業再編に必要な新たな人材
(コア人材)に係る賃金の一部を助成する。
また、人材開発支援助成金に「事業展開等リスキリング支援コース(仮称)」を創設。
企業内における新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる
知識や技能を習得させるための訓練を行う事業主を高率助成で支援する。

 賃金上昇を伴う労働移動の円滑化では、労働市場の強化・見える化に向け、
これまで各種法令等により開示が求められてきた企業情報等を整理し、
「職場情報の開示に関するガイドライン(仮称)」として策定する。

 その一方、雇用保険制度のセーフティネット機能を十分に発揮できるようにするため、
雇用保険の積立金残高が大幅に減少している中で、
第二次補正予算案で7,276億円を盛り込み、雇用保険財政の安定化を図る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 「人的資本」の開示義務化に向け、金融庁が改正案 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 人材をコストとしての「人的資源」ではなく、投資対象の「人的資本」と位置付ける
「人的資本経営」へのシフトが欧米で新たな潮流となっている。

こうしたなか、日本でも2023年3月期の有価証券報告書から人的資本情報についての
開示を義務付けるため、金融庁は11月7日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」
に関わる「有価証券報告書等」の記載事項についての改正案を公表した。

 人的資本の可視化は岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の目玉の一つ。
今年1月の所信表明演説で、
「人的投資が、企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について、
株主と共通の理解を作っていくため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定します」
と述べていた。

EUと米国ではすでに人的資本情報の開示を義務づけている。

機関投資家も企業の将来性だけでなく、優秀な人材の確保を重視するようになっている。
そのキーワードは「サステナビリティ」(持続可能性)。
持続的な企業価値向上の推進力は「無形資産」にあり、
人的資本への投資はその中核的な要素とみなされている。

 サステナビリティへの取り組みとしては、
「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4要素に沿った
開示が必要とされている。

 今回示された改正案では、非財務情報開示の充実と開示の効率化等に向けて、
有価証券報告書に、サステナビリティ情報を一体的に提供する枠組みとしての
「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄を新設。

(1)「ガバナンス」及び「リスク管理」については、必須記載事項、
(2)「戦略」及び「指標及び目標」については、重要性に応じて記載を求める。

 サステナビリティ情報を有価証券報告書等の他の箇所に含めて記載した場合には、
同情報の「記載欄」において当該他の箇所の記載を参照できることしている。

 そのなかで、人事労務関係で注目されるのが、「人的資本、多様性に関する開示」。
このうち「人的資本」では、経営戦略と人材戦略を連動させ、
企業の中核人材の多様性の確保に向けた「人材育成方針」やエンゲージメントを
高めるための「社内環境整備方針」を記載項目に追加。
「多様性」では、「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、
「男性育児休業取得率」を記載項目に追加する。

「人的資本」の関連では、例えば従業員の満足度や離職率、
人材への投資額などを指標として、目標を定めるが、使用する指標や目標水準に
ついては、企業に委ねられる。

 また、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」
及び「男女間賃金格差」の指標を公表している会社及びその連結子会社に対して、
これらの指標を有価証券報告書などで記載することが求められる。

 なお、上記の指標を記載するに当たって、任意で追加情報を記載することも
可能としている。
企業にとっては法制度に準拠した定量的な数値の記載だけではなく、
中核人材の育成・確保、組織文化の整備・改革といった定性的な指標を掲載し、
いかに競合他社との差別化を図るかもカギとなりそうだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 「新しい資本主義実現会議」で
        労働移動・リスキリング・賃上げを議論 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 岸田政権の肝いり政策にもかかわらず、新聞・テレビで取り上げられる機会の少ない
「新しい資本主義実現会議」。
しかし、コロナ後を見据えた経済再生に向けて、同会議で議論されている政府側の
提案に対する会議構成メンバーとのやり取りには注視すべきものがある。

 11月10日の第12回新しい資本主義実現会議では
「企業間の労働移動の円滑化・リスキリング・構造的賃金引上げ」が議題とされた。

まず、政府側は、新しい資本主義を実現し、持続的な成長と分配の好循環を
達成するため、労働市場改革として、

(1)労働者に成長性のある企業・産業への転職の機会を与える
  企業間・産業間の失業なき労働移動の円滑化、
(2)リスキリング(成長分野に移動するための学び直し)のための人への投資、
(3)これらを背景にした構造的な賃金引上げ、の3つの課題を同時解決していく
  必要があるのではないか
 ――と問題提起した。

 こうした政策を進めるため、企業間の労働移動が円滑である国ほど、
国の労働生産性が高くなることが確認されていることをデータ等で示した。
また、政府側は企業間の労働移動が円滑である国ほど、
生涯における賃金上昇率が高くなるデータも示した。

 さらに、日本の労働政策は、失業者への支援に重点を置いてきているが、
北欧諸国ではリスキリングを行う受講者の7割が被雇用者であることから、
こうした取り組みの重要性も指摘した。
こうした提案に対して、同会議のメンバーである経済同友会の櫻田謙悟代表幹事は、
「企業間・産業間の労働移動の円滑化とリスキリングの充実による構造的な
賃金引上げを同時解決に取り組む考えに全面的に賛同する」と表明。
そのうえで、今般の取り組みをより実効性のあるものとするために、特に重要な点として、

(1)産業分野・業種・業態などに応じた個別具体的支援策の設計
 (とりわけ中小企業で“働く個人”を支え、挑戦を促す支援に注力)、
(2)すでに取り組んでいる企業が直面する課題の解決に向けた労働法制の改革、
(3)隗より始めよ 国家公務員を対象とする“人への投資”
 ――を要望した。

 一方、同会議のメンバーである連合の芳野友子会長も意見を述べた。
雇用政策においては、「能力開発・人材育成」とともに、処遇改善による
「雇用の質の向上」に軸足を置くこと。
その考えに基づく施策を実行することにより、失業を防ぎ、労働者の雇用不安を
緩和することが重要であり、
「労働移動そのものが主たる政策目的にならないようにしなければならない」
「リスキリングに関して、その支援目的が労働移動のためだけであってはならない」
と述べ、労働移動の推進を前提する政策に異論を唱える。

 さらに10月下旬に閣議決定された総合経済対策には、リスキリング支援策の整備に加えて、
年功賃金から日本に合った形での「職務給」への移行など、
企業間・産業間での労働移動円滑化に向けた指針を来年6月までに取りまとめることが
盛り込まれている。

 こうした施策の背景には、すでに大企業を中心に進められている
リスキリングやジョブ型雇用の導入、キャリア採用を加速する賃金体系の見直しなどがある。

 安倍政権の「官製春闘」から、岸田政権では日本的雇用システム自体の改革に力点を
移したといえるだけに、その成り行きを注視すべきだろう。    (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛********************************************************

 ワールドカップカタール大会が開催されています。
2日のスペインとの対戦結果により決勝トーナメント進出が決まります。
テレビに流れるカタールの街並みに驚きますが自国民は1割。
今回のワールドカップは、アジア・アフリカからの出稼ぎ労働者の人権問題に焦点が
当てられています。
 
 11月中旬、ツイッターやアマゾンなどの米国IT企業が人員削減する報道があり、
経済減速の懸念から人件費の抑制の動きがはじまっています。
日本国内における人員削減の影響を心配しているところ、
IT企業以外の外資系企業が人員削減の方針を決定し、
全世界で一律20%人員削減の指示を受け対応に追われています。

 厚生労働省は、11月25日に
「令和3年『パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査』の結果」を公表しました。
今回の調査は、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の均衡待遇・
均等待遇の禁止が法律で定めら、全企業に施行された後の調査です。

「不合理な待遇差の禁止に対応するための見直し状況」では、
 ・見直しを行った       28.5%、
 ・見直しは特にしていない   36.0%

「パートタイム・有期雇用労働者の見直した待遇」
 ・有給の休暇制度 35.3%
 ・賞与 26.0%

企業において、法律改正の対応が遅れている実態が見えました。

今年も残すところ1ヶ月となりました。
新型コロナウイルス第8波とインフルエンザには、
くれぐれもお気をつけください。              (白石)


-------------☆ ☆ ☆ --------------

発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月のメールマガジン第248号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
次回の配信は新年1月初旬頃情報を送らせて頂きます。
e-mail: info@koyousystem.jp

[過去のメルマガ随時更新]⇒ http://www.koyousystem.jp
==============================================
メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
こちらhttp://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
配信停止を行って下さい。

社会保険労務士法人
雇用システム研究所
雇用システム研究所

〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-13
        末よしビル4階
TEL 03-5206-5991
FAX 03-5206-5990