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賃上げムードの一方で進む賃金制度改革
 ~大幅賃金アップに隠された“賃上げのカラクリ”~

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第250号
                              2023/02/01

           http://www.koyousystem.jp
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暦の上に春は立ちながら、厳しい寒さが続いております。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第250号をお送りします。

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□目次 INDEX‥‥‥‥‥

賃上げムードの一方で進む賃金制度改革
  ~大幅賃金アップに隠された“賃上げのカラクリ”~

■従業員の生活支援より、人材の確保・定着に危機感
■「全く採用できない」深刻な中小企業の人手不足
■ジョブ型変更に伴う「調整給」によって平均賃金がアップする
■全員を一律に上げる企業が減少傾向に
■ジョブ型賃金移行に伴う一時的な賃金アップの可能性
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■「転換点」の認識で一致、2023春闘に向け経団連・連合のトップが懇談
■経団連が23年版経労委報告を公表――賃上げに向けた積極的対応を期待
■主要産別の賃上げ要求方針は前年比大幅増
                 (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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賃上げムードの一方で進む賃金制度改革
  ~大幅賃金アップに隠された“賃上げのカラクリ”~

 春闘がスタートしたが、労使交渉前に早々と賃上げを表明する企業が登場するなど、
賃上げムードが盛り上がっている。
とくにユニクロを運営するファーストリテイリングの国内従業員の年収の最大約40%の
引上げが注目を集めている。
 しかも新入社員の初任給も25万5000円から30万円、入社1~2年目で就任する店長も
29万円から39万円に引き上げる。
初任給は年収で約18%アップ、店長は約36%のアップとなる。
今春闘で連合が掲げる5%賃金アップをはるかに上回る。


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■■■ 従業員の生活支援より、人材の確保・定着に危機感 ■■■
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 ファーストリテイリング以外にも、ロート製薬も昨年10月に年収を平均7%引き上げ表明。
日本生命が今年度から7%の賃上げ、サントリーホールディングスもベアも含めて
月収ベースで6%の賃上げを検討、日揮ホールディングスもベアを含む月額10%の賃上げを表明。
いずれも物価上昇率を上回る賃上げだ。
日本企業の経営者は業界横並び意識が強く、とくにライバル他社の賃上げには敏感だ。
競合他社が賃上げすれば、無理をしてでも他社に負けない賃上げに踏み切る企業も
出てくるかもしれない。

 ただし、早々と賃上げを表明した企業にはいくつかの特徴がある。
1つは従業員の生活支援というより、むしろ人材の獲得・定着に危機感を抱いていることだ。
特にグローバル競争下の企業は賃金が高い外資系企業に新卒や社員を奪われる状況が続き、
賃金を上げざるを得ない事態に直面していた。
例えばファーストリテイリングの給与水準は国内企業では高いが、
それでも海外大手に比べると見劣りする。同社のニュースリリースでも
「今回は特に、海外に比べて報酬水準が低位に留まっている日本において、
報酬テーブルを大幅にアップするとともに、これまで以上に成長意欲と事業への貢献能力に
基づいて個々の人材に報いることができるよう、
人事制度を見直すことにしました」と述べている(1月11日)。


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■■■ 「全く採用できない」深刻な中小企業の人手不足 ■■■
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 また柳井正会長兼社長も「デジタル人材の確保が重要となっている。
アマゾン・ドット・コムやアルファベットなどGAFAと呼ばれる米テック企業などから
『優秀な人材を獲得したい』と語った。」
と報じられている(日本経済新聞電子版1月20日)。
折しもアマゾンやグーグルは大規模リストラの真っ最中であり、人材獲得のチャンスでもある。
グローバル規模での優秀人材を獲得したいというのが同社の狙いであることは間違いない。

 もちろん人材の確保と定着はグローバル企業に限らず、中小企業でも最大の関心事だ。
日本商工会議所と東京商工会議所の
「人手不足の状況及び新卒採用・インターンシップの実施状況」(2022年9月28日)によると、
「人手が不足している」と回答した企業の割合は64.9%に上る。
業種別では「建設業」(77.6%)、「運輸業」(76.6%)、
コロナの影響を受けた「宿泊・飲食業」(73.9%)と、いずれも7割を超える。

 2021年度に新卒を募集した企業の割合は51.0%であるが、
そのうち「予定人数を確保できた」企業は45.6%にとどまり、約2割の企業が募集したが、
全く採用できなかった」(19.9%)と回答し、人材の確保が深刻な状況にある。


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■■■ ジョブ型変更に伴う「調整給」によって平均賃金がアップする ■■■
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 賃上げを表明した企業のもう1つの特徴は、賃金制度の変更を行っている点だ。
近年、年功型賃金からジョブ型賃金(職務給)や役割給への変更の動きが相次いでいるが、
制度変更に伴う一過性の賃上げにすぎない可能性もある。
基本的にはジョブや役割が変わらなければ給与が上がらない仕組みだ。
職務給は職務の内容を定めたジョブディスクリプション(職務記述書)をベースに、
責任や仕事の範囲などの職責の格付けを行い、職務等級(例えばジョブグレード1~10)
と報酬を紐付ける仕組みだ。

また従来の定期昇給にあたる年齢給や諸手当も廃止され、職務給1本に統一される。

 導入にあたって、社員の現在の職務を分析し、新たな職務等級に当てはめることになるが、
その結果、給与が上がる社員もいる反面、下がる社員も発生する。
いきなり給与を下げると社員の不満も出る。
そのため下がる分を2年ほど調整給として支給し、その後、本来の給与に戻すのが一般的だ。
年収で平均7%引き上げたロート製薬も年齢給を廃止し、職務給を導入した。
同社の杉本雅史社長も「一部の社員には給与水準が下がるケースが生じる。

そこで移行期における減少分は補填する形にして、不利益変更にならないように意識した。
ただ2年間の時限措置とし、本人に一つ上の職務レベルで仕事を担う覚悟を持って昇格に
挑戦してもらうことを期待している」と述べている(『日本経済新聞』12月19日付朝刊)。

 つまり、下がる社員がいなくて上がる社員がいれば全体の平均賃金は上がる。
ロート製薬は月給で平均4%引き上げたと言っているが、
あくまで平均であって全員が4%上がったわけではない。


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■■■ 全員を一律に上げる企業が減少傾向に ■■■
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 またファーストリテイリングも年収引き上げと同時に賃金制度改革も実施している。
「従業員一人ひとりの新たな報酬を決めるにあたっては、
グローバル共通のグレードの基準を、仕事の実績・成果、成果を出し組織に
貢献する能力、成長意欲・成長性などの視点から改めて明確に」(リリース)とあるように、
グローバル共通と言えば、当然ジョブ型賃金を標榜しているということだ。
同社はもともと世界共通の人事制度があったが、日本では役職や勤務地に応じた手当が
あったが、今回廃止し、基本給1本に統一することにしている。

 同社の場合も年収の引上げは「数%から最大40%」という幅を設けている。
しかも前述したように若年層の年収を大幅に引き上げている。
国内の人件費が約15%増える見込みとされている。
単純に平均で15%の賃上げになるが、全員が等しく上がるわけではない。
前出のリリースでも「成長意欲と能力ある従業員一人ひとりにフェアに報い」と
述べているように、平等ではなく、実力に応じてフェア(公正)に報いるという意味だ。

 ベースアップをするとしても、どのグレード(賃金等級)に配分を厚くするかは
会社の自由だ。
ベア分を上位の等級の社員に振り向け、低い等級の社員はわずかしか昇給させない
可能性もある。
あるいは平均5%アップ分の人件費を初任給など若手社員の賃金アップに充当し、
中高年の社員の給与はそのまま据え置くという可能性もある。
経団連の「2021年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」
(2022年1月18日)では、ベースアップ実施企業に具体的な配分方法について聞いている。
それによると「一律定額配分」の企業は35.1%、
「一律定率配分」は10.4%である。一方、
「業績・成果等に応じた査定配分」の企業が26.1%も存在する。

また、「若年層(30歳程度まで)へ重点配分」と答えた企業は18.7%もあるが、
「ベテラン層(45歳程度以上)へ重点配分」する企業はわずか2.2%にすぎない。


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■■■ ジョブ型賃金移行に伴う一時的な賃金アップの可能性 ■■■
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 ところで前述したように日本企業のジョブ型賃金は年功型の特色である定期昇給は
存在しない。
人事評価によって成果が高い人は賞与に反映されるか、
あるいは本人のジョブグレードのレンジ(賃金の幅)内の賃金を上げる方法を取る。
逆に成果が低い人は賃金を下げる、あるいはグレードダウン(降格)を行うことが多い。
つまりグレードのアップダウンや給与の増減によって人件費を一定に保つ仕組みであり、
本来はベースアップという概念は薄い。

例えばジョブ型賃金に近いキヤノンは2005年に制度を導入して以来、
今年初めてベアを実施する。
またファーストリテイリングも約20年前に現行の制度を導入して以降の全面的な賃上げという。
こうした異例の措置の背景には前述したように人材獲得などの人事戦略がある。

 年功型賃金からジョブ型賃金に移行し、制度導入時に全体的な賃上げが実施されたとしても、
来年も賃上げが行われる保障はない。             (溝上 憲文)


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■■■ 「転換点」の認識で一致、2023春闘に向け
          経団連・連合のトップが懇談 ■■■
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 連合(芳野友子会長)と経団連(十倉雅和会長)は1月23日に東京都内で例年開催している、
トップによる懇談会を開き、今春闘が事実上スタートした。

 この懇談会は、昨年末に連合が2023春季生活闘争(春闘)に向けた方針を決定し、
経団連がこの時期、毎春の労使交渉・協議に向けた指針となる
『経営労働政策研究委員会特別報告』(通称・経労委報告)の発表を受けて、持たれるもの。
春闘の前哨戦と位置づけられるものの、実質的な交渉は、2月上旬から大手企業の組合が
要求書を提出してから始まり、今年は3月15日の集中回答日に向けて、交渉はヤマ場を迎える。

 懇談会の冒頭、両会長があいさつ。十倉会長は、
「わが国経済は持ち直し基調にあるものの、エネルギー・原材料や食料等の価格高騰は、
国民生活と企業活動に大きな影響を及ぼしている。
経済が持続的に成長していくためには、賃金と物価の好循環を実現する必要がある」
との現状認識と示し、課題を提起した。そのうえで、今季労使交渉を、
「デフレからの脱却」と「人への投資の促進」による「構造的な賃金引き上げ」を
めざした企業行動への転換を実現する「正念場かつ絶好の機会と位置付けている」
との立場を表明。

 賃上げに向けては、「物価動向を特に重視」しながら、「企業の社会的な責務」として、
賃金引き上げのモメンタムの維持・強化に向けた積極的な対応を、
「できるだけ多くの機会をとらえて呼びかけている」と賃上げに積極的な姿勢を示した。

 さらに、日本全体の賃金引き上げの気運醸成に向けて重要な中小企業の賃金引き上げと
その環境整備のため、
「『パートナーシップ構築宣言』(企業規模の大小にかかわらず「発注者」の立場で
自社の取引方針を宣言するもの)に参画する企業の拡大と実効性の確保に
一段とギアを上げて取り組んでいる」と報告した。

 また、連合の闘争方針の内容について、
「問題認識について連合とはほとんど一致していると思う。
経団連と連合とは闘争関係ではなく、日本が抱える社会的な課題解決に向けて、
協力して未来を創造する『未来協創』の労使関係であることを確認し合い、
発信していきたい」と述べ、課題解決に向けて労使間の協力関係の重要性を強調した。

 一方、連合の芳野会長は、
「昨年来、コロナ禍と物価高に多くの国民が苦しい思いをしている。
ようやくコロナをうまく制御しながら社会・経済活動が本格化してきただけに、
時計の針を戻すことなく、人命を守る感染対策と、社会・経済活動を守る取り組みとの
両立が重要な局面であり、労使間でも改めてその重要性を再確認し、
個々の行動に結び付けていきたい」との課題認識を示した。

 そのうえで、足元で続く物価高については、
「長らく続いているデフレマインドが、心理的にも物価高の影響をより一層増幅させる
一因にもなっている」としつつも、今春の取り組みをこれまでの延長線上での議論に
とどめるのではなく、
「労使が力を合わせて日本の未来を作り変えるターニングポイントとすべきである。
その手段については、賃上げを基本とした経済の好循環の再構築にほかならず、
経済界も同様の認識を示していただいていると理解している」と述べ、
賃上げの必要性と併せて、今年が「転換点」との位置づけであることについて、
労使共通の認識であることを強調した。


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■■■ 経団連が23年版経労委報告を公表
         ――賃上げに向けた積極的対応を期待 ■■■
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 春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスおよび雇用・労働に関する
経団連の基本的な考え方を示す2023年版『経営労働政策研究委員会特別報告』が
1月17日に公表された。
副題は「『人への投資』促進を通じたイノベーション創出と生産性向上の実現」。
同報告の中心となる賃上げへの対応については、これまで通り、
「賃金決定の大原則」(適切な総額人件費管理の下、自社の支払能力を踏まえ、
労働組合等との率直な意見交換を経た上で自主的に賃金を決定)に則って
検討する方針は堅持したうえで、
「物価動向を特に重視しながら、賃金引き上げと総合的な処遇改善・人材育成を積極的に
呼びかけていく」との基本的な考え方を表明している。

 第?部「雇用・人事労務管理に関する諸課題」では、働き手の
「エンゲージメント」を高めるため、企業は働き方改革を「人への投資」と位置づけ、
施策の効果を測定したうえで、評価・改善のサイクルの継続が必要であると指摘。
働き方改革の推進には、中小企業も含めたサプライチェーン全体で、
経営環境の整備に向けた支援の重要性も強調する。

 また企業は、多様な人材を受け入れ、個性や強みを最大限発揮できるよう、
人権の尊重や公正性・公平性(エクイティ)の概念を付加した「DE&I」
(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を浸透させて、
多様な人材が活躍できる環境を整備することが求められると主張する。

 さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)・
グリーントランスフォーメーション(GX)の推進に伴う産業構造の変革や
労働需要の変化に対応し、わが国の硬直的な労働市場を成長産業・分野等への
円滑な労働移動に適したものとすることが求められると強調。
そのために、働き手はキャリアを主体的に考え、エンプロイアビリティを向上させる
ための継続的な能力開発・スキルアップが期待されるとした。

 一方、政府には雇用のマッチング機能の強化、
「労働移動推進型」のセーフティーネットへの移行に向けた早期の検討を要請した。

 第?部「2023年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス」で、
具体的な対応方針を示す。まず足元の物価上昇を契機として、わが国社会に
染みついたデフレマインドを払拭し、
「賃金と物価が適切に上昇する『賃金と物価の好循環』を形成していく必要がある」
と主張している。

 そのうえで、「人への投資」を通じて賃金引き上げの機運を醸成し、
「構造的な賃金引き上げ」と「分厚い中間層の形成」につなげることが
望まれるとしている。
企業はそのため、「社会性の視座」に立ち、「人への投資」を一層重視した
企業行動への転換の絶好の機会ととらえ、各企業が「賃金決定の大原則」に則って
検討をする際、さまざまな考慮要素のうち「物価動向」を特に重視するよう求めた。
さらに、企業の社会的責務として、
「賃金引き上げのモメンタムの維持・強化に向けた積極的な対応を呼びかけていく」
と、過去に類例がないほど、賃上げに向けて前向きな姿勢を示した。

 同報告に対して、連合は翌18日に見解を発表し、
(1)2023年は「大きな転換点」という時代認識、
(2)「人への投資」こそ、安定的かつ持続的な成長のカギになる、
(3)中小企業の賃金引上げとその環境整備
 ――については、認識と方向性が一致していると評価した。

 その一方、連合の5%程度の賃上げ目標に対して、
「慎重な検討が望まれる」としていることに加え、月例賃金の引き上げの他にも
インフレ手当や賞与・一時金など「多様な選択肢」があるとしている点には異論を唱えている。


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■■■ 主要産別の賃上げ要求方針は前年比大幅増 ■■■
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 春闘の相場形成に影響力のある主要産業別組織の賃上げ要求方針がほぼ出そろった。

 化学・繊維などの製造業からスーパーマーケットなどの流通業からサービス業に
至るまで、幅広い業種をカバーする最大産別のUAゼンセン(187万人)は
物価上昇分を確保するだけでなく、他産業との格差是正も意識し、
賃金体系維持分を含めた引き上げ要求基準は連合方針よりも1%高い6%程度に設定した。

 組合員の過半数を占める短時間組合員(パートタイム労働者)の要求基準については、
「制度昇給分に加え、時間額を3%以上引き上げる。
制度昇給分が明確でない場合は、時間額について制度昇給分を含めた総率として5%以上、
総額50円を目安に引き上げる」とし、雇用形態間の格差是正が必要な場合は、
「正社員組合員以上の要求を行う」とした。

 日立、東芝、富士通、松下などの電機メーカーを傘下に収める電機連合(57万人)では、
大手電機メーカー組合で構成する12中闘組合の賃金の統一要求基準について、
「開発・設計職基幹労働者」の個別ポイントで、現行水準を7,000円以上改善するとした。
昨年方針に比べると、4,000円引き上げた水準となっている。
電機連合が、統一要求基準で7,000円以上の水準を掲げるのは、1998年の闘争以来25年
ぶりのこと。

 機械・金属関連の中小労組を多く抱えるJAM(37万人)は、
物価上昇下での実質賃金の確保を強く意識し、ベアや賃金改善分だけでみた賃上げ
要求基準について、昨年から3,000円上積みして9,000円に設定。
定期昇給相当分を含む平均賃上げ要求基準では、
「JAMの賃金構造維持分4,500円に9,000円を加え『人への投資』として1万3,500円以上とする」
とした。

 トヨタ、日産、本田などの自動車メーカー労組でつくる自動車総連(80万人)は、
賃金の上げ幅を要求基準とする方式では中小と大手との絶対額での格差是正が進まない
との理由から、それぞれの単組が「根っこからの水準」(絶対額)を重視しており、
2019年から産別として上げ幅の要求基準を掲げることをとりやめている。

 目指すべき絶対額の参考とするため、
「賃金センサスプレミア」「自動車産業プレミア」「自動車産業アドバンス」
「自動車産業目標」「自動車産業スタンダード」「自動車産業ミニマム」
という6つの基準額を設定し、それらの額を順に
37万円(前年同額)、32万8,000円(同)、30万8,000円(1万6,000円増)、
28万4,000円(1万2,000円増)、26万2,000円(1万4,000円増)、24万円(前年同額)とした。

 また、企業内最低賃金については、協定を未締結の単組は新規締結に取り組むとし、
その基準額を昨年から5,000円引き上げ、17万3,000円以上とした。(荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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寒中お見舞い申し上げます。 

 ワシントン大学研究チームが、米国労働者の2019年から2022年にかけて自発的に
減らした労働時間の分析結果の記事が掲載されていました(日本経済新聞夕刊1月16日)。

 米国では新型コロナウイルス禍に伴い、仕事への熱意の低下により最低限の
仕事しかしない「静かな退職(Quiet Quitting)」ブームが広がり労働時間の短縮に
つながっているようです。

 性別・年代別では
  25歳~39歳男性  年16時間減
  40歳~54歳男性  同13時間減
  25歳~39歳女性  同 4時間減

 特に、労働時間が長かった高所得者が大きく減らしました。

 コロナ禍で、経済的に余裕がある労働者を中心に、ワークライフバランス
(仕事と生活の調和)を重要視する傾向が強まったと推測されています。

 全国的に10年に一度の気温となり、大雪や路面・水道管の凍結による被害が多発しています。
寒さ厳しき折、くれぐれご自愛ください。                (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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