2024年の人事・労務の課題
~賃上げに始まり、労働法制の施行・改正への対応が急務~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★雇用システム研究所メールマガジン★
< 第261号 2024/01/01 >
http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
皆様どのような年末年始をお過ごしでしょうか。
雇用システム研究所メールマガジン第261号をお送りします。
───────────────────
□目次 INDEX‥‥‥‥‥
2024年の人事・労務の課題
~賃上げに始まり、労働法制の施行・改正への対応が急務~
■賃上げ機運盛り上がる。価格転嫁がどこまでできるか
■労働条件明示と無期転換ルールへの対応
■新裁量労働制が施行。同意の撤回手続きの取り扱いも課題
■秋にフリーランス保護法施行、労災保険の「特別加入」対象の拡大
(以上執筆者 溝上 憲文)
■3報酬のトリプル改定、税制改正などで「賃上げ」を優先課題に
■2024春闘、連合は「5%以上」、金属労協はすべての組合が賃上げ1万円以上
■昨年に続き企業も前倒しで賃上げに積極姿勢示す
(以上執筆者 荻野 登)
編集後記(白石多賀子)
==============================================
2024年の人事・労務の課題
~賃上げに始まり、労働法制の施行・改正への対応が急務~
2024年の最初の焦点は3月から本格的に始まる春闘の賃上げだ。
23年は30年ぶりの大幅賃上げとなったが、
24年も引き続き賃上げ機運が醸成されつつある。
物価の高騰を受けた23年の春闘の賃上げ率は連合の発表で前年比3.58%。
額にして1万560円だった。
一方、11月末に厚生労働省が公表した
「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査」
(常用労働者100人以上、1901社)によると、
賃上げ率は3.2%(前年1.9%)。
前年より1.3ポイント増え、現在の調査方法となった1999年以降で最も高かった。
==============================================
■賃上げ機運盛り上がる。価格転嫁がどこまでできるか
この調査は労働組合のない企業が約8割を占めるが、
引き上げ額は9437円(同5553円)で、連合の集計より低いが、
賃上げの動きが労働組合のない企業にも広く波及していることがわかった。
しかし、毎月勤労統計調査(2023年10月)によると、
物価を加味した実質賃金は19か月連続でマイナス状態が続いている。
政府は2023年を上回る賃金を求める一方、24年の賃上げに向けて、
政・労・使も足並みを揃えている。
連合は今年の賃金引上げ目標を「5%以上」にすることを決定している。
これに対して経団連の十倉雅和会長は「昨今の物価上昇率を踏まえれば、
労働運動として『5%以上』と表現を強めたこと自体は理解できる」とし、
「来年は今年以上の熱量をもって働きかけたい。
物価だけでなく、人材の確保・定着や、分厚い中間層の形成など
重視すべき考慮要素を示しながら、各企業に対し、自社に適した方法での
賃金引上げをお願いしたい」(2023年10月25日、定例記者会見)
と、述べている。
今年の賃上げ率については、みずほリサーチ&テクノロジーズが3.8%、
第一生命経済研究所が3.7%と、23年を上回る予測を打ち出している。
ただし、このうちベア分は2.0~2.2%程度であり、
23年の消費者物価指数の年平均3%を下回っている。
東京商工リサーチの調査(2023年12月20日)によると、
8割(82.9%)の企業が24年に賃上げを実施すると回答した。
しかし、賃上げ幅が「2023年を超えそう」と回答した企業は11.6%にすぎない。
企業規模別では大企業が14.1%、中小企業が11.3%である。
「2023年と同じ程度になりそう」は大企業は55.85%、
中小企業51.11%となっている。
また、中小企業では「2023年を下回りそう」が19.62%、
「賃上げできそうにない」が17.93%も存在する。
「賃上げ原資の確保に必要なこと」に対する質問では、
「既存製品・サービスの値上げ(価格転嫁など)」が最も多く、65.1%を占めている。
企業の9割超を占める中小企業のさらなる賃上げを進めるには、
原材料価格や労務費の高騰分の価格転嫁が求められている。
■労働条件明示と無期転換ルールへの対応
春からは労働法制の施行ラッシュが始まる。
2024年4月1日から労働契約締結時における労働条件の明示事項の追加のほか、
有期契約労働者の明示事項の追加による無期転換ルールの見直し、
そして裁量労働制に関する新たなルールも施行される。
また、時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務となっていた建設事業、
自動車運転業務、医師についても4月1日から適用される。
労働条件の明示事項に新たにすべての労働者について
「就業場所・業務の変更の範囲」が追加され、労働契約の締結と有期労働契約の
更新のタイミングごとに「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、
これらの「変更の範囲」についても明示することになっている。
無期転換ルールの改正では、
(1)有期契約労働者の雇用の安定に向け、無期転換申込権が発生する契約更新時における
申込機会および転換後の労働条件、更新上限の有無などの書面明示の義務付け、
(2)更新上限を定める場合等の理由の説明などか盛り込まれている。
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨
(無期転換申込機会)の明示を行う(労働基準法施行規則5条の改正)。
初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も有期労働契約を更新する場合は、
更新のたびに今回の改正による無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の提示が必要になる。
■新裁量労働制が施行。同意の撤回手続きの取り扱いも課題
裁量労働制については、専門業務型裁量労働制(専門型)の本人同意の義務化や
企画業務型裁量労働制(企画型)を含めて同意撤回の手続きが義務化されたほか、
健康・福祉確保措置が指針で強化された。
今回、新たにM&Aアドバイザー業務が専門型に追加された。
裁量労働制は周知のようにあらかじめ労使協定(専門型。企画型は労使委員会)で
定めた時間を労働したとみなす仕組みであり、労使協定を労働基準監督署に届け出、
受理されて有効になる。
現在、専門型は新商品や新技術の研究開発、人文科学や自然科学の研究、
情報処理システムの設計、新聞記者など19業務が指定されている。
追加されたM&Aアドバイザー業務は
「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及び
これに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務」
(告示案要綱)を専門型の対象とする。
M&Aアドバイザー業務を行う企業は多く、もっぱら売り手と買い手を
仲介する業務に焦点があたるが、厚労省労働基準局労働条件政策課の担当者は
「銀行・証券会社に限定し、顧客のM&Aに関する調査または分析、
またはこれに基づく考案・助言を行う業務に携わる人であり、
売り手と買い手の仲介する業務は含まれない」とする。最大のポイントは、
新たに専門型についても本人同意を必要とし、
同意の撤回手続きが企画・専門型に盛り込まれたことだ。
企画型は本人同意が決議事項となっていたが、専門型も労使協定事項となる。
撤回後の配置や処遇については
「あらかじめ協定や決議で定めておくことが望ましいことに留意する必要がある。
同意撤回の際の取り扱いが明確になるように対応いただきたい」(労働条件政策課)
としている。これにより労働者が自分がなぜ適用されるのかという趣旨を理解し、
納得して働けるかという点では大きく改善される。
また、同意しなくても不利益取り扱いを受けないこと、いったん同意しても撤回できる。
裁量労働制を導入している企業の中には
「これまで当然ながら同意を撤回する社員はいなかったが、
若年層の中には同意を撤回する社員も出てくるかもしれず、どれぐらい発生するのか
管理職も気を揉んでいる」(広告業人事担当者)と、不安を露わにする。
■秋にフリーランス保護法施行、労災保険の「特別加入」対象の拡大
このほか、秋までにフリーランスと発注事業者の間の「業務委託」に係る
事業者間取引を規制する
「フリーランス・事業者間取引適正化法」が施行される予定となっている。
さらに取引適正化だけではなく、個人事業者等の過重労働、メンタルヘルスなどの
対策強化の法令改正に加えて、業種や職種を限定せず、保険料率0.3%で、
フリーランス本人の全額負担による労災保険に「特別加入」できる制度も
秋にスタートする。
一連の法令改正への対応は喫緊の課題であり、すでに準備が進んでいる
企業は多いだろうが、早急の対応が求められている。
また、今年ではないが、定年前に比べて給与が減った場合に支給される
「高年齢雇用継続給付金」が2025年からの縮小が決まっている。
一方、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)が、
男性は1961年4月2日以降に生まれた人から廃止され、2025年度までに終了する。
再雇用社員の給与は公的年金や雇用継続給付金の支給を前提に制度設計している企業も多い。
人手不足の中で再雇用社員のモチベーション向上と戦力化を図るために、
賃金制度の再設計も求められてくる。
労使協議も考えると、今年から制度設計に着手したほうがよいと思われる。
(溝上 憲文)
==============================================
==============================================
■3報酬のトリプル改定、税制改正などで「賃上げ」を優先課題に
岸田政権が掲げる新しい資本主義を実現するための中心的な課題が、
「構造的な賃金引上げ」。
それを確たるものとするには春闘における労使自治を前提とした労使交渉による
「継続的な賃上げ」の実現とともに、政府からのサポートも欠かせない。
2024年の新春を迎え、マイナス金利の解除など日本銀行の金融政策の転換にも
決定的な影響を及ぼす今春闘の賃上げに向けた政府・労組等の動向をまとめてみる。
まずは、政府の取り組み。「物価高に負けない賃上げ」を目標に掲げる政府は、
12月22日に閣議決定した令和6年度予算の概算要求案の社会保障関連予算に、
賃上げを後押しするための諸施策を盛り込んだ。
6年に一度の「トリプル改定」となった医療、介護、障害福祉の3分野のサービスには、
それぞれ「診療報酬」「介護報酬」「障害福祉サービス報酬」として国による
公定価格があり、予算がその処遇改善に直接影響する。
今回、政府は医療、介護従事者等の賃上げを重視した。
介護報酬改定については、人件費などに充てられる「本体」の改定率は全体で
+1.59%(国費 432 億円)とした。
さらに、介護職員の処遇改善分として+0.98%を措置し、
令和6年度にベア 2.5%、令和7年度にベア 2.0%を実現するために必要な水準を確保する。
その上で、賃上げ税制を活用しつつ、介護職員以外の処遇改善を実現できる水準として、
その他の改定率+0.61%を措置する。
診療報酬・薬価等改定については、メリハリのある見直しにより、
医療従事者の人件費などに充てられる「本体」を引き上げる改定率は
+0.88%(国費822億円)とした。これに加え、
医療現場に従事する幅広い層の賃上げとして、
令和6年度ベア 2.5%(定昇分込み4.0%)、
令和7年度ベア 2.0%(同 3.5%)を実現するための措置を講じる(改定率+0.89%程度)。
障害福祉サービス等報酬改定については、
「本体」の改定率は全体で+1.12%(国費 162 億円)だが、
障害福祉分野の人材確保のため、外枠で処遇改善加算の一本化を図ることで、
合わせて改定率+1.5%を上回る水準となる。
また、令和6年度の税制改正では、賃上げ促進税制の拡充・延長を図る。
30年ぶりの高い水準となった2023年の賃上げを一過性のものとせず、
構造的・持続的な賃上げを実現するため、大企業向けについては、
より高い賃上げへのインセンティブ強化に向けて、
現在の賃上げ率の要件(4%)を維持しつつ、さらに高い賃上げ率の要件を創設(5%と7%)。
中小企業向けについては、前例のない長期となる5年間の税額控除の繰越措置を
創設することにより、赤字等の厳しい状況でも賃上げを行う中小企業を後押しする。
また、地域において賃上げと経済の好循環の担い手として
期待される中堅企業向けの新たな枠を創設する。
さらに、雇用の「質」を向上させる形での賃上げが促されるよう、
教育訓練費を増やす企業への上乗せ措置の要件を緩和。
さらに、子育てとの両立支援、女性活躍支援に積極的な企業への上乗せ措置を創設する。
この結果、大企業で給与などの増加分の最大35%、
中小企業では同45%まで法人税額を控除できるよう拡充した。
このように、岸田政権は経済政策の一丁目一番地に「賃上げ」を据えている。
■2024春闘、連合は「5%以上」、金属労協はすべての組合が賃上げ1万円以上
30年ぶりの高水準となった2023年春季労使交渉(春闘)の賃上げの継続性と
中小企業での賃上げ拡大に向けて、労働組合は前年以上の要求を
掲げる姿勢を強めている。
ナショナルセンターの連合(芳野友子会長、684万人)は12月1日、
都内で中央委員会を開催し、2024春季生活闘争方針を決定した。
賃金引き上げの要求目標を
「賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め
5%以上の賃上げを目安とする」とすることを確認。
賃上げ分の要求「5%」は昨年の闘争方針と数字上は変わらないものの、
「5%程度」から「5%以上」に一段と強めた。
方針では、「経済社会のステージ転換を着実に進めるべく、
すべての働く人の生活を持続的に向上させるマクロの観点と各産業の
『底上げ』『底支え』『格差是正』の取り組み強化を促す観点から、
前年を上回る賃上げをめざす」との目標を示した。
方針はまた、「基本スタンス」として、「この2年の取り組みの結果、
20年以上にわたるデフレマインドが変化しつつある。
2024春季生活闘争は、経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へと
ステージ転換をはかる正念場」と位置づけ、
「その最大のカギは、社会全体で問題意識を共有し、持続的な賃上げを実現することにある」
と強調する。
規模間・雇用形態間の格差是正を進めるための要求目標も示している。
規模間格差を是正するための指標については、目標水準を
「35歳29万6,000円、30歳26万6,000円」に設定。最低到達水準については、
「35歳27万4,500円、30歳25万2,000円、企業内最低賃金協定・時給1,200円以上」とした。
一方、正規・非正規の雇用形態間の格差を是正するための指標については、
目標水準を「昇給ルールをつくる」「昇給ルールを導入する場合は、
勤続年数で賃金カーブを描くこととする」とし、
「水準については、『勤続17年相当で時給1,795円・月給29万6,000円以上』となる制度設計をめざす」
としており、最低到達水準は「企業内最低賃金協定1,200円」に置いた。
組合員300人未満の中小組合で、賃金実態が把握できないなどの事情がある
場合の要求目標については、「格差是正分を含め、1万5,000円以上を目安」。
前年の「総額1万3,500円以上」から1,500円積み増した。
また、製造業関連の自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、
全電線の5つの産業別労働組合でつくる金属労協(200万人)は同6日、
都内で協議委員会を開催し、2024闘争方針を決定した。賃上げの要求水準について、
「定期昇給などの賃金構造維持分を確保した上で、
すべての組合で1万円以上の賃上げに取り組む」とし、
賃上げ要求水準は前年の「6,000円以上」から4,000円引き上げた。
金属労協傘下の産別では、中小の機械・金属関連の労組が多いJAMが、
定昇相当分を除く賃金改善分だけで1万2,000円以上を基準とする
賃上げ要求方針の素案を策定。鉄鋼・総合重工などでつくる基幹労連も同様に、
賃金改善分だけで1万2,000円以上を求める内容を中心に検討を進めている。
さらに、最大産別のUAゼンセン(185万人)は、
2024年の春季労使交渉で正社員とパートなどを合わせた全体の
賃上げ目標を6%とする方針を固めている。
連合の「5%以上」とする要求方針の水準を上回り、
引き上げ率が連合の方針を上回るのは2年連続となる。
主力の流通部門の2024年労働条件闘争方針案では、正社員組合員の要求基準として、
部門で設定している賃金ミニマム未達・不明企業で、
賃金体系維持とベースアップを含め、1人平均1万7000円以上を要求する考えだ。
部門到達未達で総額1万5750円(6.5%)以上、
部門到達以上で総額1万4500円(6.0%)以上アップをめざす。
組合員の半数を占める短時間組合員の要求基準は、時給を5%以上引き上げ、
昇給制度がない場合は7%以上(70円)を目安に引き上げを求める。
同一労働同一賃金を意識した要求設定とした。
■昨年に続き企業も前倒しで賃上げに積極姿勢示す
昨年は、春闘の本格化を前に、トップから高水準の賃上げ実施を
表明する企業が相次いだが、今年もその流れが継続している。
サントリーホールディングス(HD)は2024年に、
基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)を含めて月収ベースで
23年と同等の7%程度賃上げする方針を固めている。
昨年の春闘では大手食品メーカーを中心に同社の回答に準じた賃上げ
1万円の相場が形成されただけに、今季も継続的な賃上げに向けた
企業からの先行的な意向表明は同業他社の賃金決定にも影響が及ぶだろう。
厚生労働省が11月28 日に発表した令和5年
「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果によると、賃金改定にあたって
重視する要素に変化が生じている。
2023年に重視したのは、
企業業績(50.3%)、労働力の確保・定着(46.5%)、雇用維持(41.3%)、物価の動向(27.1%)、
世間相場(23.4%)の順で多かったが、
前年に比べて企業業績は5ポイント・ダウンの一方、
物価が22年から継続する物価高を反映して20.3ポイントの大幅増。
さらに労働力の確保・定着、雇用の維持、世間相場はそれぞれ6~7ポイント伸びた。
人材獲得競争の熾烈化とともに、世間相場の動向に企業の関心は高まっているといえる。
明治安田生命をはじめ、複数の大手生命保険会社が2024年の賃上げ率を
7%ないしはそれ以上へ引き上げるとしている。
金融関係ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やAIの導入に向けて、
デジタル人材確保が必須となっているだけに、
人材の獲得に向けた積極的な賃上げは業界内に波及するだろう。
さらに人手不足が深刻な流通・サービス、飲食業関連での前倒しの
大幅賃上げ表明も相次いでいる。松屋フーズホールディングスは12月11日、
2024年4月から、過去最高の10.9%相当の賃上げを決定したと発表した。
具体的には、「新卒の初任給引き上げ(大卒初任給230,000円⇒250,000円)」に
「ベア、定期昇給分等」を加味して、物価上昇分を大幅に上回る10.9%の賃上げを実施する。
単年度の賃上げとしては過去最高となる。
ビックカメラは10月に係長職以下の正社員の基本給を7~16%引き上げる
ことを決定したと報道された。
ビックカメラにはUAゼンセン傘下の労働組合があり、
家電量販店への賃上げ相場に影響を与えることは必至だ。
賃金決定に影響を与える要素として、先の厚労省調査にあったように、
昨今の物価高と労働力需給のひっ迫が大きいことは間違いないだろう。
その一方、日本銀行の植田総裁が、30年以上前に発表した論文(植田・岡崎(1989))では、
先に見た「賃金引上げ等の実態に関する調査」をもとに分析した結果、
個別企業の賃金決定に産業の平均賃金及び製造業全体の平均賃金が
重要な効果を持つと報告している。
植田総裁は自身の分析に基づいて、賃上げの動向に関して産業平均と
読み替えることができる世間相場に期待しているのかもしれない。
そのため、最近の発言を見ると、金融政策の変更に当たって、
春闘を最重視していることが頷ける。
民間シンクタンクによる2024年の賃上げ予測をみると
3.7~3.8%のゾーンに集中し、2023春闘の結果をまとめた連合の
最終集計3.58%をわずかしか上回らないとみている。
昨年の予想はほぼ1ポイント低い2%台後半が多く、見通しは大きく外れている。
こうした見通しは企業業績や労働需給、
消費者物価指数などのマクロ経済の説明変数を使って、
従来の延長上で推計しているため、政府の政策的なてこ入れ、
経営者のマインド、労働側の交渉力といった新たな変化を織り込むことができない。
日本経済新聞が12月28日の紙面で発表した「社長100人アンケート」によると
2024年の賃上げ想定は「5%台」が最多だった。
30年間停滞してきた日本経済は、おおきな転換点にあるということを
認識しつつ、人材の確保・定着のため、
各企業は準備を怠らないようにする必要がありそうだ。 (荻野 登)
★☆★編集後記★☆★
今年はどんな年になるのでしょうか。
昨年は、新型コロナが「5類感染症」に分類され、経済活動が活発になりました。
神楽坂もショッピングや観光などで人出が増しています。
仕事面では、“円安・物価高・人手不足・賃上げ”などの悩みの声が多く寄せられ、
特に“人手不足”では雇用のミスマッチの相談や従業員定着対策の相談が増えています。
今年4月からは、時間外労働上限規制の適用猶予期間終了、
労働条件明示ルール等の法改正があります。
また、厚生年金は高所得者の保険料引き上げや雇用保険の適用拡大等の
法改正に向けての検討がされます。
今年も労働関係法の動きから目が離せないです。
皆様のご健勝とご活躍を祈念申し上げます。 (白石)
==============================================
★-----------------------------
発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp
-----------------------------★
今月のメールマガジン第261号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容を充実していきたいと思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
次回の配信は2月初旬頃情報を送らせて頂きます。
e-mail: info@koyousystem.jp
[過去のメルマガ随時更新]⇒ http://www.koyousystem.jp
==============================================
メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
こちらhttp://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
配信停止を行って下さい。