「職種限定契約の同意なき配転は違法」、最高裁判決の波紋
~労働条件明示義務への影響~
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★雇用システム研究所メールマガジン★
< 第269号 2024/09/01 >
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天候による各地での影響が心配です。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
雇用システム研究所メールマガジン第269号をお送りします。
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□目次 INDEX‥‥‥‥‥
「職種限定契約の同意なき配転は違法」、最高裁判決の波紋
~労働条件明示義務への影響~
■職種の専門性を考慮し、「黙示の職種限定契約」があったと認定
■職種限定合意で使用者の配転命令権が制限される
■配転に同意しないと解雇有効と判断される可能性も
■働き手のジョブ型志向の高まりで「労働条件明示」にも影響する
■ジョブ型雇用の新たなリスク
(以上執筆者 溝上 憲文)
■民間の賃上げ動向を受け国家公務員の給与勧告も30年ぶりの高水準(定昇込み4.4%)
■最低賃金の全国加重平均51円増の1,055円に――27県で目安上回る
■過労死防止大綱の改定を閣議決定――新たな数値目標を設定
(以上執筆者 荻野 登)
編集後記(白石多賀子)
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「職種限定契約の同意なき配転は違法」、最高裁判決の波紋
~労働条件明示義務への影響~
職種限定の合意がある場合、本人の同意なしに配置転換できない――。
最高裁は4月26日、滋賀県社会福祉協議会事件の判決で、
配転は解雇回避の目的で行われており、違法無効とはいえないと
判断した原判決を破棄、大阪高裁に差し戻した。
従来、配転が幅広く行われている企業の裁量を司法も認めてきたが、
職種限定契約の同意なき配転は違法と最高裁が判断したのは初めてだ。
日本では一般的に会社が強力な人事権を持ち、
従業員の配置・異動で権限を行使してきた。その背景には新卒一括採用によって
ノースキルの新人にさまざまな業務を担当させて育成し、
本人の適性と能力に応じたポストに配置すること。
さらに長期雇用を前提にビジネス環境の変化に応じてポストの異動や再教育による
職種転換によって事業の継続性を維持するという目的があった。
従業員に対して雇用を保障する代わりに会社が転居を伴う転勤などの
勤務地の異動や職種を変更する配置転換を同意なしに行っている。
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■職種の専門性を考慮し、「黙示の職種限定契約」があったと認定
配転命令権は就業規則にも明記されている。
厚生労働省のモデル就業規則でも
「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所
及び従事する業務の変更を命ずることがある。
労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない」と書かれている。
こうした中で今回の滋賀県社会福祉協議会事件の最高裁判所の判決が
注目されている。
概略はこうだ。滋賀県の施設である福祉用具センターの業務の指定管理者
であった社会福祉協議会(Y)に職員(X)が福祉用具の改造・製作、
技術の開発を担当する技術職として採用され、勤務していた。
その後YはXに総務課施設管理担当への配置転換命令を出した。
しかしXは職種および業務内容を技術職に限定する旨の合意があるのに、
同意なしの配置転換命令を違法としてYに損害賠償を求めて裁判となった。
一審および原審(大阪高裁)は、職種限定契約の合意がなくても、
職種の専門性などの事情を考慮し、会社と労働者との間に職種限定の
合意が黙示的に存在するという
「黙示の職種限定契約」は認めたものの配転命令は有効と判断した。
判決では「配転命令は法人における福祉用具改造・製作業務が廃止されることにより、
技術職として職種を限定して採用された職員につき、解雇もあり得る状況のもと、
これを回避するためにされたものであるといえる」などと述べた上で、
「職員が主張する諸事情を考慮しても、本件配転命令が違法無効であるとはいえない」
と判断した。
■職種限定合意で使用者の配転命令権が制限される
しかし、最高裁は原判決を破棄し、原審に差し戻した。
その理由についてこう述べている。
「労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに
限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、
その個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しないと解される」
職種限定の合意がある場合は、
個別的合意なしに配置転換を命じることはできない、
つまり職種限定合意により使用者の配転命令権が制限されることを初めて明確にした。
その上で「被上告人が上告人に対してその同意を得ることなくした本件配転命令につき、
被上告人が本件配転命令をする権限を有していたことを前提として、
その濫用に当たらないとした原審の判断には、
判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある」として原審に差し戻した。
解雇回避の目的があれば、職種限定契約があっても配転を命じることができる
とした原審の判断を明確に否定し、職種の変更が自身の利益になるかどうかは
労働者自身が判断するべきことを示唆している。
今回の最高裁の判決について、労働側の弁護士は
「職種限定合意を黙示の合意として認めたことは大きい。
長年にわたり専門性の高い職種に従事してきた人にも本人同意が必要になる可能性が高くなり、
これまで以上に労働契約法の労使合意原則が徹底されるだろう」と評価する。
■配転に同意しないと解雇有効と判断される可能性も
一方、経営側の弁護士は
「控訴審判決において、解雇を回避する観点から、限定契約に対して
やや柔軟な解釈を行ったのに対し、原則論に立ち戻った判断は労働者の雇用の安定を
損なう可能性もある。
職務がなくなってしまう場合でも、労働者が同意しない限り他の職務に
就かせることができないため、その場合に解雇しても有効と判断される
可能性もあるのではないか」と語る。
また「裁判所としては、職種限定合意がある場合は、
他の部署で受け入れてもいいが、どうしますかと確認するアクションが
必要だと考えている。
本人が行きますと言えば問題にならないが、今回の判決では、
本人は行きたくないと言っている。
他に行く場所がなければ辞めてもらうしかないという話になるのではないか」と語る。
つまり、従業員の雇用確保の観点から配転ができなければ整理解雇になる。
その場合に解雇権濫用法理(労働契約法16条)が適用される。
整理解雇の4つの要件
【(1)人員削減の必要性、(2)解雇回避努力、(3)解雇の対象者の選定基準の合理性、(4)説明義務】
をクリアする必要がある。
弁護士は「会社側の事情によって解雇することになれば、
整理解雇の4要素は考慮されると思う。
ただ原審の判決では職場がなくなることの合理性があったと判断しているので、
あとは解雇回避のために、例えば退職金の積み増しをどれくらいにするのか、
そうした提案をした上で合意退職できるのであればよいが、
合意退職できなければ解雇するという話になるのではないか」と指摘する。
ただし一般的には黙示の職種限定契約はあり得るとしても、
職種限定契約の採用は大企業でも少ない。
しかし、労働者の同意を前提としたジョブ型雇用が広がれば最高裁の判決は
大きな影響を与える可能性もある。
■働き手のジョブ型志向の高まりで「労働条件明示」にも影響する
ジョブ型雇用の関連では2024年4月から労働基準法15条の労働条件明示義務の内容について、
労基法施行規則が改正され、雇入れ直後の就業場所および従事すべき業務に加えて、
就業場所および従事すべき業務の
「変更の範囲」についても明示が必要になった。
変更の範囲は人事異動や配置転換などで変更の可能性がある就業場所や
業務内容を記載する必要がある。
変更の範囲について業務内容を限定すると、職種限定契約と同じ効力を持ち、
就業規則に配転条項があっても個別合意の契約が優先される。ただし多くの企業では、
就業場所は「会社が定める営業所」、
業務の内容は「会社内でのすべての業務」と記載し、
配転可能な書面にしているところが多い。
また、我が社はジョブ型ですといいながら、
配転可能な条項を就業規則に記載している会社も多いようだ。
一方で、自分のやりたい仕事を優先し、それが可能な企業を選ぶという
ジョブ型志向が高まっている。
日本生産性本部の「第15回働く人の意識に関する調査」
(2024年7月29日)では、ジョブ型を「仕事内容や勤務条件を優先し、
同じ勤め先にはこだわらない働き方」、
メンバーシップ型を「同じ勤め先で長く働き、異動や転勤の命令があった場合は
受け入れる働き方」と定義。
希望する働き方を聞いているが、ジョブ型を希望する人が64.8%、
メンバーシップ型が35.2%となっている。
ジョブ型志向はコロナ禍の2021年7月調査以降高い傾向にある。
また、富士通はこれまで管理職や一般社員に適用していたジョブ型人事制度を
2026年度入社の新卒社員にも広げる予定だ。
同社のリリースでは
「これまで一部の採用コースで適用していた、入社後に一人ひとりが担うジョブや職責、
ジョブディスクリプション(職務記述書)をベースとした
『ジョブ型人材マネジメント』に基づく採用形態へ本格的にシフトしていきます」
と述べている。
8月29日に内閣官房から発表された事例集「ジョブ型人事指針」の中でも富士通は
「新卒採用でも職種や職務を限定した採用に変更する」と記されている。
■ジョブ型雇用の新たなリスク
少子高齢化による人手不足が顕著になると、労働者の力が相対的に高まり、
職務限定契約を要求する人も増えるかもしれない。
ただし一方で解雇のリスクもある。
前出の弁護士は「職種を限定することが本当によいことなのか。
職種を限定すれば、職種の限定のない場合に比べて、その仕事を遂行するのが難しいと
見なされれば解雇されるリスクが高まる。
また、専門的な仕事がやれるという前提で入っても仕事自体がなくなれば、
会社も他の部署で働きますかとは言いにくくなる。
やりたい仕事ができず、他の仕事もやりたくないとなれば、
当社では難しいねという話になり、辞めざるを得なくなるケースも出でくるのではないか」
と指摘する。
職務限定契約を希望する人が増えるのはよいとしても、
事業の廃止や本人のスキルレベルによって、
労働条件の切り下げを伴う異動に関連するトラブルが今後増える可能性もある。
(溝上 憲文)
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■民間の賃上げ動向を受け国家公務員の給与勧告も30年ぶりの高水準(定昇込み4.4%)
人事院(川本裕子総裁)は8月8日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する
勧告と人事管理に関する報告をおこなった。
民間企業の賃上げ状況を反映して月例給は約30年ぶりとなる高水準のベースアップ(2.76%)
のほか、採用市場での競争力向上のため、初任給を大幅に引上げ総合職大卒の初任給を
約3万円引き上げるなど、若年層に特に重点を置いている。
人事院勧告は、常勤の民間従業員の給与水準と、
常勤の国家公務員の給与水準を均衡させること(民間準拠)を基本に、
民間企業の給与動向の調査をもとに、官民格差を比較する。
今年は、約1万1,700民間事業所の約47万人の個人別給与を調査し、
主な給与決定要素(役職、地域、学歴、年齢)を揃えた比較を実施。
その結果、国家公務員の月例給が民間給与を1万1,183円(2.76%)下回っていることから、
同額・率をベースに月例給の引上げ改定を行う必要があるとし、
4月に遡っての実施を勧告した。
モデル試算した定期昇給分を加えると、月収で約4.4%の給与改善となる。
官民較差の額1万1,183円は1991年の1万1,244円以来、33年ぶりの水準。
官民較差(いわゆるベアに相当)の2.76%は、1992年の2.87%以来、
32年ぶりの高い水準となっている。
なお、大手企業の賃上げについては、厚労省と経団連がそれぞれ最終集計を
8月に発表している。
厚労省が2日に発表した民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況(資本金10億円以上
かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業348社)によると、
平均妥結額は1万7,415円で、前年比べ6,170円の増。
また、現行ベース(交渉前の平均賃金)に対する賃上げ率は5.33%で、
前年比1.73ポイントの増。率でみると1991年の5.65%以来の高水準となった。
経団連が5日に発表した大手企業(原則従業員500人以上)における妥結結果の
最終集計によると、同日までに情報提供のあった企業のうち集計可能な135社の平均で、
引き上げ額1万9,210円(前年比5,848円増)、
アップ率5.58%(同1.59ポイント増)だった。
アップ率が5%超となるのは91年(5.60%)以来となる。
また、中小企業を含む連合の最終集計(7月3日)によると、
5284組合の組合員一人当たりの加重平均は、額で1万5,281円、率で5.10%
(前年比4,721円増、1.52ポイント増)となっている。
特別給(ボーナス)について人事院勧告は、直近1年間の民間の支給状況を調査して
官民比較した結果を踏まえて、年間4.50月分から3年連続で0.10月分引き上げ、
年間4.60月分とする。
また、国家公務員については、若手職員の離職は増加傾向にあるほか、
一般職試験の申込者数は減少が続くなど、国家公務員の人材確保が
大きな課題となっていることから、初任給を大幅に引き上げる。
民間の初任給の状況等を踏まえた水準とし採用面での競争力向上のため、
総合職(大卒) 23万円(+14.6%[+2万9,300円])、
一般職(大卒) 22万円(+12.1%[+2万3,800円])、
一般職(高卒)18万8,000円(+12.8%[+2万1,400円])にそれぞれ引き上げる。
同勧告には地域手当の市町村単位から都道府県への大くくり化のほか、
配偶者手当の廃止と子ども手当の増額なども盛り込まれた。
同勧告はこれから決定される地方自治体職員のほか、
公立学校の教職員の給与改定についても大きな波及効果をもたらすことになる。
■最低賃金の全国加重平均51円増の1,055円に――27県で目安上回る
厚生労働省が8月29日に発表した地方最低賃金審議会が答申した今年度の
地域別最低賃金の改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004 円)となった。
加重平均で51 円の引上げは、先に見た今春闘における民間の賃上げ相場である
5%程度が最賃にも波及したとみることができる。
51円の引き上げは1978年度に目安制度が始まって以降で最高額となる。
前月号で紹介した7月25日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した
「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安」
(全都道府県でA、B、Cの各ランク一律で50円の引上げ)などを参考に、
各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を取りまとめたもの。
答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する
手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、
10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定だ。
都道府県ごとに見ると、物価高や人手不足に伴う人材獲得競争の激化を背景にしつつ、
50円~84円の引上げというバラツキが目立つ結果となった。
目安の50円以上の改定となったのは27県。
そのうち引上げ額の最高は地方審議会での決着が最も遅かった徳島県の84円、
59円は2県(岩手、愛媛)、58円は島根県、57円は鳥取県、56円は3県(佐賀、鹿児島、沖縄)、
55円は7県(青森、山形、福島、高知、長崎、大分、宮崎)、
54円は3県(秋田、新潟、熊本)、53円は福井県、52円は2県(茨城、香川)、
51円は6県(石川、岐阜、兵庫、和歌山、山口、福岡)。
これ以外の20都道府県は目安通り50円引き上げで、
全国加重平均の引き上げ額は51円となった。
この結果、最低賃金を1,000円超は、
昨年までは東京都、大阪府、愛知県など8都府県に限られていたが、
2倍の16都道府県に拡大。
北海道や広島県など三大都市圏以外が1,000円の大台に乗った。
一方、最高額(東京都1,163 円)に対する最低額(秋田県951 円)
の比率は 81.8%(昨年度は80.2%)で、
この比率は10年連続の改善となった。
昨年、最低賃金が最低額となった岩手県が目安より9円積み増すことで最下位から脱却。
各県とも最下位を避けたいとの意向が強く、Cランクを中心に目安に対して上振れ傾向が目立った。
また、1,000円超の地域が増えたことで、県外への人材流出を懸念する意見が
労使双方から強まったことも、全体的な底上げを促した。
さらに、従来以上に地域ブロックにおける動向(地域相場)を意識した
決定が今年度の特徴となった。
たとえば九州では最高額の福岡県(992円、前年比1円増)に対して、
他県は4~6円の幅で同県に接近しようとする動きがみられた。
関東では群馬県(985円)をのぞいて6都県が1,000円台となった。
東海の静岡県、愛知県、三重県、岐阜県はすべて1,000円台に乗った。
また東北でも最高額(宮城県・973円)と最低額(秋田県・951円)との差が
前年の30円から22円に縮小した。
その一方、四国では昨年の最高額・香川県(918円)と最低額・徳島県(896円)の差22円が、
今年は徳島県(980円)と高知県(952円)との差28円に拡大した。
徳島県については、昨年全国第2位の低さに甘んじた現状に対して、
県の経済実勢を反映した基準をもとに四国最下位からの脱却を目指した。
サービス業を中心に加速する恒常的な人手不足感により、
こうした地域ブロック内の隣接県を意識した最低賃金の引上げ競争は、
来年以降も継続するとみられる。
■過労死防止大綱の改定を閣議決定――新たな数値目標を設定
政府は8月2日、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の改訂版を閣議決定した。
過労死等防止対策推進法が成立してから10年が経過するなか、
働き方改革関連法の施行もあり、長時間労働が減少傾向となるなど一定の成果はみられるものの、
過労死等が多発する現状は大きく変わっていない。
そのため、3年ごとに改定される大綱は今回、2024年4月に全面適用された
時間外労働の上限規制の遵守について、労働基準監督署による監督指導などを通して、
順守の徹底を進めていくことが明記された。
このほか、11月1日に「フリーランス保護法」が施行されることを踏まえ、
健康管理の強化の取り組みなどを進める。
また、過労死や長時間労働が多くあるとされる重点業種に
「芸術・芸能分野」を追加し、過労死事案の分析などを実施する。
2018年6月、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立し、
時間外労働の上限規制の導入、勤務間インターバル制度の導入の努力義務化、
年5日の年次有給休暇の時季指定の義務化等の法整備が行われた。
一方、工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師等については、
長時間労働の実態があり、その背景に業務特性や取引慣行上の問題等、
個々の事業主の努力のみでは解決することが困難な課題がある中で、
5年間の取組・支援を経た上で、今年4月に時間外労働の上限規制が適用された。
こうした取り組みが進められたにものの、
月末1週間の就業時間が40時間以上の雇用者のうちの60時間以上の
長時間労働者の割合は、2020年から23年の間、ほぼ横ばいで、23年は8.4%だった。
長時間労働の削減や休息の確保につながる勤務間インターバル制度について、
導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が6.0%と少なく、
「導入を予定又は検討している」が11.8%にとどまり、
「導入の予定はなく、検討もしていない」が8割超(81.5%)となっている。
メンタルヘルスについては、近年、精神障害による労災請求・支給決定件数が
増加傾向にあることに加え、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は
退職した労働者がいた事業場の割合が約1割程度で推移している。
さらに新たな課題として、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)
に関しても周知・啓発の取り組みを行うことが必要となっている。
こうした課題を踏まえ、改定された大綱では、過労死をゼロとすることを目指し、
労働時間、勤務間インターバル制度、年次有給休暇及びメンタルヘルス対策について、
数値目標を設定する。
まず、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、
週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(2028年まで)とする。
勤務間インターバル制度について2028年まで、
(1)労働者数30人以上の企業のうち、制度を知らなかった企業割合を5%未満、
(2)労働者数30人以上の企業のうち制度を導入している企業割合を15%以上――とした。
2022年に62.1%だった年次有給休暇の取得率を
2028年に70%以上を目指すほか、2027年までにメンタルヘルス対策に取り組む
事業場の割合を80%以上、2027年までに労働者数50人未満の小規模事業場における
ストレスチェック実施の割合を50%以上とすることも盛り込んだ。
さらに今年5月に策定した
「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」に基づき、
フリーランスなどの個人事業者自身による健康管理や、
過度な長時間就業とならないよう、注文者等による期日設定等に関する配慮等の
取り組みを促進。
今年1月にフリーランスに対象を拡大した労災保険の特別加入制度によって、
安心して業務に従事できる環境整備を図る。 (荻野 登)
★☆★編集後記★☆★
残暑厳しい日々ですが、吹く風に秋を感じます。
今年4月、障害者の法定雇用率2.5%、対象事業主の範囲が40人以上に引上げられま
した。
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」結果によると、従業員規模5人以上
の事業所に雇用されている障害者数は1,107,000人で前回調査(平成30年度)に比べ
て256,000人増加しています。
内訳は、
身体障害者 526,000人
知的障害者 275,000人
精神障害者 215,000 人
発達障害者 91,000 人
障害者雇用に当たっては、障害者雇用促進法第36条の3で
「事業主は、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な
遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない」
と合理的配慮を定めています。
なお、同条ただし書で
「事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この
限りではない。」とあり、当事者を規律する労働契約の内容を逸脱する過度な負担を
伴う配慮の提供義務を事業主に課するものではありません。
小規模事業主からの相談では、雇用する義務は認識していますが
「障害者に会う業務がない」との声が多く、採用しても雇用のミスマッチが発生しています。
数字ありきの対応は厳しいのが実情です。
しばらくは暑い日々が続きますので、体調管理にはお気をつけください。(白石)
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今後もさらに内容を充実していきたいと思います。
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