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発刊済みメールマガジンMail Magazine

企業に求められるカスハラ防止対策
 ~東京都が条例を制定、国も立法化を予定~

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★雇用システム研究所メールマガジン★
< 第272号 2024/12/01 >

http://www.koyousystem.jp
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急な気温の変化に戸惑います。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第272号をお送りします。

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□目次 INDEX‥‥‥‥‥

企業に求められるカスハラ防止対策
  ~東京都が条例を制定、国も立法化を予定~

■正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為
■必要な相談窓口の設置、現場の対応マニュアル作成
■安全配慮義務違反を問われるリスク
■北海道、愛知、三重でも条例化を検討、国も立法化
             (以上執筆者 溝上 憲文)

■「年収の壁」問題――社会保険の適用拡大と第三号被保険者制度をめぐって
■連合が「第三号被保険制度」の廃止を打ち出す
■段階的に三号被保険者制度の廃止、配偶者控除も廃止(関経連)
■日商・東商は「10~20年かけて第三号被保険者制度」の解消を提言
             (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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企業に求められるカスハラ防止対策
  ~東京都が条例を制定、国も立法化を予定~

 悪質なクレームなどカスタマーハラスメントの防止に向けた企業や行政の動きが広がっている。
東京都は「カスタマー・ハラスメント防止条例」を交付、
来年の4月1日から施行される。

 条例第4条で「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」と、
カスハラ禁止を規定している。
カスハラの定義について第2条5項で
「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、
就業環境を害するものをいう」と定義している。

 つまり、
(1)顧客等から就業者、
(2)著しい迷惑行為、
(3)就業環境を害する
 ――の3つの要素をすべて満たすのがカスハラである。

 そして「著しい迷惑行為」とは
「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、
暴言その他の不当な行為」(2条4項)と規定している。

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■正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為

 「暴行、脅迫その他の違法な行為」について「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針案」
(以下、ガイドライン)では
「暴行、脅迫、傷害、強要、名誉毀損、侮辱、威力業務妨害、
不退去等の刑法に規定する違法な行為のほか、
ストーカー規制法や軽犯罪法等の特別刑法に規定する違法な行為を指す」と説明している。
犯罪に相当する行為は当然ながら許されるものではないが、
「正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為」については
「客観的に合理的で社会通念上相当であると認められる理由がなく、
要求内容の妥当性に照らして不相当であるものや、大きな声を上げて秩序を乱すなど、
行為の手段・態様が不相当であるものを意味する」と説明している。

 ガイドラインではカスハラに該当する可能性のある社会通念上不相当な代表的行為類型として、
身体的攻撃、精神的攻撃、威圧的言動、土下座の要求など刑法等の犯罪に抵触する行為を提示している。
さらに顧客の要求内容が就業者にとって不可能な行為であったり、
どのように対応すればよいかわからない抽象的な行為も
カスハラに該当する可能性があるとし、以下を挙げている。

(1)過度な商品交換の要求
 (就業者が提供した商品と比較して著しく高額な商品や入手困難な商品と交換するよう要求する)
(2)過度な金銭補償の要求
 (就業者が提供した商品・サービスと比較して著しく高額な金銭による補償を要求する)
(3)過度な謝罪の要求
 (就業者に正当な理由なく、上司や事業者の名前で謝罪文を書くよう要求する、正当な理由なく、
 自宅に来て謝罪するよう要求する)
(4)その他不可能な行為や抽象的行為の要求(就業者に不可能な行為。
 法律を変えろ、子どもを泣き止ませろ等を要求する。誠意を見せろ、納得させろ等、
 就業者に抽象的な行為を要求する)

 こうした従業員に対するカスハラ行為について企業はどう対応すべきなのか。
条例の第9条2項は事業者の責務として
「就業者がカスタマー・ハラスメントを受けた場合には、速やかに就業者の安全を確保するとともに、
当該行為を行った顧客等に対し、その中止の申し入れその他の必要かつ適切な措置を
講ずるよう努めなければならない」と規定。
何より従業員を守ることが先決であり、
「現場責任者等が対応を代わった上で、顧客等から就業者を引き離す、あるいは、
弁護士や管轄の警察と連携を取りながら対応するなど、
就業者への被害がこれ以上継続しないようにすることが求められている」
(ガイドライン)としている。


■必要な相談窓口の設置、現場の対応マニュアル作成

 そして企業のカスハラ防止対策として条例14条1項で指針に基づき、
必要な体制の整備、カスハラを受けた就業者への配慮、カスハラ防止のための手引きの作成、
その他の措置を講ずるよう努めることを規定している。
指針(ガイドライン)では以下の対策を挙げている。

(1)カスハラ対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
(2)カスハラを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
(3)相談窓口の設置
(4)適切な相談対応の実施
(5)相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じて就業者に周知
(6)相談を理由とした不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め周知
(7)現場での初期対応の方法や手順の作成

 以上が条例の概要であるが、東京都はガイドライン以外に各業界団体が定める
マニュアルの共通事項である「各団体共通マニュアル」のほか、
「各業界が定めるマニュアル」と「各事業者が定めるマニュアル」も作成している。

カスハラ防止対策はガイドラインにあるように、
カスハラ対処方針の策定、相談窓口など相談体制の整備、周知のための研修、
現場の対応マニュアルの作成などがある。
すでにセクハラ、パワハラなどの対策を整備している企業は多いが、
カスハラは他のハラスメントと違い、加害者は外部に存在する。
被害を受けた従業員のメンタル面のケアを含めて再発防止に向けた対策がより重要になる。
東京都のカスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会の委員を務める
成蹊大学法学部の原昌登教授は現場での実態把握と本部との情報共有による
一貫した対策が重要だと指摘する。

 「企業によってはカスハラに関する現場の記録があってもそれを本社や本部に
報告する仕組みが十分に整っていないところもあるようだ。

ハラスメントだと一般的には担当するのは人事労務部門だが、カスハラは営業部門、
コンプライアンス部門のどこが担当するかを決定し、
現場の情報をしっかりと吸い上げるルートの構築も必要になる。
報告がないから当社は大丈夫と思い込んでいる会社も結構あるのではないか。
どういうルートで報告し、情報を集約して対策につなげていくのかという
カスハラ特有の仕組みも必要だ」


■安全配慮義務違反を問われるリスク

 条例には罰則はないが、カスハラ行為者は刑法で処罰される。
また企業の対応についても防止措置義務はないが、カスハラによるリスクを
3つ抱えていると原教授は指摘する。

1つはカスハラで傷ついた従業員に対して安全配慮義務違反を問われるリスクだ。
労働契約法5条で企業は従業員の安全や健康に配慮する義務を負っている。
原教授は看護師が入院患者に暴力を受けて負傷した事件について、
裁判所は病院側に看護師の身体に危害が及ぶことを回避すべき義務があったとし、
安全配慮義務違反を認めたケースを挙げる。

 また「コールセンターの従業員がわいせつ発言や暴言を受け、
安全配慮義務違反を主張して提訴した事件では、会社がわいせつ電話の場合は上司に転送したり、
大声の対応ではヘッドセットを外すなど従業員の心身の安全を確保するためのルールを作り、
対応していたとして安全配慮義務違反を否定した事例など、
企業の参考になる裁判例もある」と語る。


■北海道、愛知、三重でも条例化を検討、国も立法化

 また、カスハラは会社にとって大事な顧客がカスハラをする顧客を見て不快な思いや
精神的苦痛を味わい、カスハラを敬遠して遠ざかるなど顧客を失うリスクもある。
さらにカスハラ対策をしていないと従業員の離職もまねきやすい。
条例制定は東京都だけではなく、北海道でも制定される見込みであり、
愛知、三重、滋賀県でも検討が始まっている。そして国も法制化に向けて着手している。
厚労省の有識者による
「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書」(2024年8月8日)
ではカスハラ対策の強化を求め
「労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当である」
と述べている。

現在、労働政策審議会で審議され、年内に報告書の建議、法案化を経て、
来年の通常国会に上程される予定だ。              (溝上 憲文)


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■「年収の壁」問題――社会保険の適用拡大と第三号被保険者制度をめぐって

 10月の総選挙以降、「103万円」の壁が大きな政治課題として急上昇した。
働き控えを生む税制上の壁がクローズアップされた格好だか、
「壁」はこれだけにとどまらない。

 厚生労働省の社会保障審議会年金部会で進められている次期年金制度改正に向けて、
パートタイム労働者の社会保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大で直面する
「106万円」の壁を巡る議論も佳境を迎えている。

 こうしたなか、保険料を負担する側の労使団体から社会保険の適用拡大を
念頭に置いた「第三号被保険者制度」の廃止を求める提案が示されているが、
なぜかメディアは大きく取り上げない。

 社会保険料負担が免除される所得上限である「130万円の壁」について、
10月に「三号被保険者制度の廃止」を打ち出した労使団体の主張をみると、
非常に類似しており、妥協点が見いだせそうなレベルとなっている。

 税制上の扶養家族から外れて所得税が課税される「103万円の壁」については、
与野党協議の政治マターとなっており、先行き不透明なため、ここでは、
社会保険の壁を巡る論点に絞って、経過と課題を展望してみる。

 その前にまず、来年の年金制度改革に向けた政府の立ち位置をみる。
社会保障制度について政府は
「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について」(2023年12月)で、
持続可能な制度の構築に向けて、今後の改革の方向性を定めている。

 このなかで年金制度の関連では働き方に中立的な制度の構築を課題の一つとして掲げており、
「勤労者皆保険の実現」に向けて、勤労者がその働き方や勤め先の企業規模・業種にかかわらず、
ふさわしい社会保障を享受できるようにするとともに、
雇用のあり方に対して中立的な社会保障制度としていく観点から、
次期年金制度改正に向けて検討・実施すべき項目として、

(1)短時間労働者への被用者保険の適用拡大(企業規模要件の撤廃など)、
(2)常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消、
(3)週所定労働時間20時間未満の労働者、
 常時5人未満を使用する個人事業所への被用者保険の適用拡大
 ―――などをあげている。
 つまり、政府はその政策目標として、
 働き方に中立的な「勤労者皆保険制度」の実現を目指していることになる。

 現在、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で、次期制度改正に向けた検討が進められており、
その中で、被用者保険の適用拡大(勤労者皆保険)、女性の就労の制約(いわゆる「年収の壁」等)と
第三号被保険者制度についてのあり方が重要な論点となっている。

130万円の壁の影響を弱める効果があるとみられるパートタイム労働者への
社会保険の適用拡大の歩みを振り返ると、2012年の法改正で、
従業員数501人以上の企業等で働く
(1)週所定労働時間が20時間以上、
(2)月額賃金8.8万円以上(年収106万円相当)、
(3)勤務期間1年以上、?学生は適用除外

 ――の要件を満たすパートタイム労働者への適用が実現した(2016年10月施行)。
その後、適用範囲が拡大され、101人以上の企業は2022年10月から、
51人以上の企業も 2024年10月から適用されることとなった。


■連合が「第三号被保険制度」の廃止を打ち出す

 この被用者保険の適用拡大と第三号被保険者制度を念頭においたいわゆる
「年収の壁」への対応について労働組合の中央団体である日本労働組合総連合(連合)は、
10月18日の中央執行委員会で第三号被保険者について、
廃止も含めて検討する方針を打ち出した。

 連合は昨年10月に社会保障制度に関する考え方として、
「働き方に中立的な社会保険制度等を確立し、高齢期における生活保障の充実をはかるため、
すべての労働者に社会保険を適用すべき」との基本方針を示した。
具体的には、
(1)週20時間以上の短時間労働者が社会保険に適用となる特定適用事業所の企業規模要件について速やかに撤廃する、
(2)非適用業種を撤廃するとともに常時5人未満の個人事業所も適用事業所とする、
(3)適用基準として労働時間要件(週20時間以上)または年収要件(給与所得控除の最低保障額以上)
 のいずれかに該当すれば社会保険に適用されるようにする、
(4)被扶養者の年収要件を現行の130万円未満から給与所得控除の最低保障額(55万円)未満とする
 方針を掲げた。

 また第三号被保険者について連合は、専業主婦などが対象で、
保険料負担なく基礎年金を受給できる制度である一方、女性のキャリア形成を阻害し、
男女間賃金格差を生む原因の一つとされていることから、
保険料を負担し給付を受けるという保険の原則に立ち返り考え方から、
段階的に制度を廃止する方針を表明していた。

 基本的には社会保険適用を推進するとともに、社会保険の適用による給付の充実など、
正しい制度理解を促進すべきであり、
「年収の壁」に対しては、政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」に対して、
「社会保険を歪める弥縫策を講じるのではなく」とけん制しつつ、
制度の根本的解決をめざすべきとの姿勢を示していた。

 この方針を踏まえて連合は6月に、2025年年金制度改革に対応するため、
「公的年金制度の見直しに対する連合の対応」を確認。
9月に「全被用者への被用者保険の完全適用」と「第三号被保険者制度廃止」
という2つの論点で組織討議を実施した。

 結果的に多くの組織から肯定的な意見が寄せられ、
三号被保険者制度廃止について移行期間を当初の5年から10年程度に延長する
などの修正を行った。
具体的な措置として、第三号被保険者制度は、10年程度の期間を設けて段階的に廃止する。
第一段階では、新たに第三号になれないようにし、
5年程度の期間で配偶者の所得制限と子どもを養育する親の要件を設けるなどの経過措置を行う。
第二段階では、第三号被保険者制度を廃止し、自営業者等の所得捕捉の仕組み、
国庫負担割合の引き上げにより、
「所得比例年金・最低保障年金制度」の構築を目指すとしている。

さらに、
(1)過去に第三号被保険者期間があった受給者の年金は減額しない、
(2)廃止時点で第三号被保険者である人、受給者ではないが過去に第三号被保険者であった期間がある人について、
  第三号被保険者としての加入期間にかかる将来の基礎年金は減額せず、
  受給資格期間にも含める、
(3)育児期間中の社会保険料免除措置を拡大、
(4)無年金となる人や低年金の人に対しては生活手当(仮称)などの加算で対応するなど、
  廃止にあたっては相当な期間をかけて、影響や課題に配慮した制度を求めていく。


■段階的に三号被保険者制度の廃止、配偶者控除も廃止(関経連)

 関西経済連合会(関経連)は10月16日、意見書
「社会保障を中心とする税財政に関する提言~財政健全化、経済成長、
国民の安心を支える社会保障制度の確立に向けて」を取りまとめ、公表した。

 今回の意見書は、中長期的視点に立った財政健全化や経済社会における
好循環の実現のため、持続的な社会保障制度に向けた改革をはじめ、
わが国財政のガバナンス強化および財政規律の確保、
個人のライフコースの選択に中立的な制度の構築などを求めている。

 具体的な提言として、所得が一定以上の高齢者を対象とした
老齢基礎年金の支給額の逓減あるいは支給の停止、
公的医療保険における自己負担の見直し、医療・介護の給付費(対GDP比)に
関する目標の設定に加え、「年収の壁」の抜本的見直しに向けた
第三号被保険者の廃止を訴えている。

 このなかで、制度の支え手の拡大およびセーフティネット機能の拡充に向けて、
「多様な働き方が広がる中、企業規模や業種に関わらず、健康保険・厚生年金保険が
適用されるよう見直しを進めていくことが求められる。
まずは、週所定20時間以上の短時間労働者における被用者保険の適用に関する
企業規模要件の撤廃、および個人事業所の非適用業種の解消、
常時5人未満を使用する個人事業所への適用拡大に着手すべきである」と問題提起する。

 そのうえで、「年収の壁」の抜本的見直しは、
「昨今の賃上げ効果を所得増および個人消費の活性化につなげていくためにも非常に重要である」
と指摘。そのため、
「被用者保険の適用拡大や就労の促進を通じて第二号被保険者を増やしつつ、
第三号被保険者制度を段階的に廃止すべきである」と提言する。
また、第二号被保険者に該当しない者については、
「第一号被保険者として負担を求めることを検討すべきである」としている。

 これまで適用対象外であった事業者にとっては負担増となるため、
「労務費の価格転嫁の浸透を後押しする取り組みなども行うことが必要である」としている。

 さらに、税制面においては婚姻や所得の稼得形態の選択に中立的な制度が検討される必要があるため、
「共働き世帯が多く占める現状においては、配偶者控除および配偶者特別控除を廃止すべきである」
と主張している。


■日商・東商は「10~20年かけて第三号被保険者制度」の解消を提言

 日本商工会議所と東京商工会議所は11月21日に連名で、
年金制度改革に関する提言を発表した。
この中で両会議所は、いわゆる「年収の壁」問題は「壁の額の上げ下げでは本質的解決とならない」と主張。
「第三号被保険者制度の解消」に向けた検討が必要だとし、
「年収の壁」問題の根底にある同制度については、
「将来的(10年~20年後など)な解消について、早急に国民の合意を得る努力をすべき」
と強調している。

 その背景には第三号被保険者が、「年収の壁」を意識して働く人が多いことを指摘する。

現在、第三号被保険者(735万人)のうち、
パート主婦などの短時間労働者は312万人と半数弱を占める一方、
手取り収入の減少を避けるため「年収の壁」を意識して働いていると
想定される人(月収7.8~10.8万円)が約147万人いることをあげる。

 一方、日本経済団体連合会(経団連)は9月30日に公表した
「次期年金制度改正に向けた基本的見解」で、働き方に中立な制度の構築に向けた被用者保険の
さらなる適用拡大についての対応策をまとめている。
それによると、まずは、第一段階として、次期制度改正においては、
「働く場所の違いによらず、被用者保険に加入できるよう、企業規模要件の撤廃や
個人事業所の非適用業種の解消を確実に実現すべきである」と強調する。

 そのうえで、第二段階として、
「次々回の 2030 年改正において、さらなる適用拡大や労働分野での各種制度改正の
施行状況等を踏まえながらも、より多くの被用者への適用が確実に進展することを目指し、
労働時間要件や賃金要件についても制度見直しを行うとの方向性を明確化すべきである」と主張。
第三号被保険者制度の見直しについては、適用拡大を確実に進めていき、
「第三号被保険者を縮小していくべきである」と述べている。

 このように、労使の主張を見てもわかる通り、手法や時期の差はあれ、
制度改革のベクトルはあってきている。
11月15日段階で、労使と有識者で構成する厚労省の社会保障審議会年金部会の
取りまとめによると、
「まずは適用拡大を進めて、第三号被保険者制度を縮小していくことついては、
概ね一致した意見となっている」としている。

 総選挙で各党が打ち出した最低賃金1,500円実現のプロセスが早まれば、
106万円の壁という賃金要件は早晩、意味をなさなくなるだろう。
来年か再来年にはすべての都道府県で、週20時間働くことで8.8万円を満たすことが予想される。
被用者保険の適用拡大がさらに進み、第三号被保険者制度が縮小の方向に向かっていくことが
予想されるなか、それでもなお残る第三号被保険者についての制度のあり方や見直しについて、
今後どのようなステップをたどるべきかが、「年収の壁」をめぐる本丸の課題といえそうだ。
                                   (荻野 登)


★☆★編集後記★☆★

 今年は、温暖化の影響で紅葉が遅れ残念です。
また、秋収穫の果物や野菜にも影響がでています。 

 今月号では、「年収の壁」を取り上げました。
連日、税制上の「年収103万円の壁」、
さらに社会保険の「年収106万円の壁」と「年収130万円の壁」が報道されています。
26日の首相官邸で開催された政労使会議では、
労働者の新たな保険料負担を軽減するために企業が肩代わりする案がありました。

 税金の壁、社会保険の壁および年金制度の改革は、
国民が納得できる財源確保も含めてトータルで検討・論議していただきたいです。

師走、忙しさが増します。
寒暖差で体調管理が難しい時期、くれぐれもご自愛ください。(白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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